飛行機の中で見ました。
見なきゃよかったと思うくらい、
暗い気分になりました。

でも、これは現実に起こりうる、
自分に振りかかる可能性があること。
犯罪被害者の身内になったとき、
この国は何をしてくれるのだろうか、
それを改めて考えさせられれます。

この物語に結論はありません。
それは読者に、そしてこれからの
日本のありかたに委ねられます。

それは仕方ないことであり、
ですがこのような問題提起ができることに、
日本映画のひとつの価値があります。

寺尾聰の役者としての凄さをあらためて感じます。
竹野内豊、伊東四朗はじめ、本当に役者が素晴らしい。
この映画にかける想いが伝わってきます。

それだけに、原作も同じなのかもしれませんが、
二人目に復讐するために、探し回るシーンの描写、
リアリティにどうしても納得いかないのです。

例えば、あんなに携帯を使っていれば、
日本の警察は簡単に捕まてしまうでしょう。
ニュースもろくに見ないから、自分が狙われていることにすら
気づかない愚かな若者を描きたかったのでしょうが、
あれほどニュースになったら、さすがに友人の誰かから連絡があるでしょう。

逃げる少年、追う犯人(父親)、その両方を追う警察。
ここの描写にリアリティがないと、
その全てが単なる作り物になってしまうと思うのです。

この物語で、作り物であっていいのは、
父親が復讐をするか、否か。
それにつきるのですから、
それ以外のリアリティを追求して欲しかった。

そうでないと、自分に身にも起こりうるという、
その重要な提起に疑念が入ってしまうのです。

全体としては、全世代に観て欲しい。
素晴らしい映画です。

さまよう刃 (角川文庫)/東野 圭吾

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