特派員の小林みどりです。


どんな大学なのか意外と知られていないんです。

そこで今回の特派員リポートでは、

応用生物科学部の高野克己教授

大学の歴史や授業のことなどを伺ってみました。


メモ歴史は118年前に遡る!

東京農大は、1891年、今から118年も前に

榎本武揚(えのもとたけあき…

あの日本史の五稜郭のところで出てくる名前です)

が幕臣の子供の教育をするために作った、

「徳川育英校」という学校が始まり。

飯田橋駅前には「農大発祥の地」という碑があります。

その後中央線が通るため大塚に移転、

さらに渋谷区常盤松(今の青山学院中等部)に。

戦後今の世田谷区桜丘に移転した。

敷地面積は約五万坪。

大学院・短大合わせておよそ9千人の学生が学んでいます。


メモその教育目的は……
初代学長横井時敬(ときよし…明治農学の第一人者)が、

農業は経験でなく科学的にやらなければと、

手法だけでなく肥料や農薬の使い方も学ぶことを提唱。


メモ学部紹介
チューリップ黄国際食糧情報学部

 途上国の食糧・開発などを通じて国際協力や、

 農業にかかわる経済やビジネスを学ぶ。

チューリップ赤先端地域環境科学部

 技術によって環境保全や環境にやさしい農業技術、

 都市環境デザインなどを学ぶ。

チューリップ紫応用生物科学部

 一般の農学科は生産者を教育するが、

 ここは植物動物を分子レベルで研究をするところ。

 高野教授はこの学部の学部長。



メモそんな農大生の気質は?

昔からあまり変わっていないんだとか。

素直で自然が好き。動植物が好き。

まじめで、自然の中の人間が

おごり高ぶってはならない、という考えを持っています。

3,4年生は研究室で学びます。

マスプロでない少人数制で教師と学生が緊密。

学生たちの農業に対する意識は高く、

農業に魅力を感じてくる学生が多い、と高野教授。


メモ卒業後の農大生

農家の後継ぎも多いそうです。

一般企業(種・肥料・農薬・食品・

医薬品・化学メーカー)や

高校の先生を希望する学生も。(理科・農業高校)

大学院進学率も高いそうです。

卒業生からの大学への質問や問い合わせも多く、

企業関係者が

「農大生ひとり雇うともれなく農大がついてくる」

と言うほど。結婚式が同窓会になるのも農大の特徴。


メモ収穫祭・大根踊り

もともと戦後2627年ごろ、

人々を元気づけようということで始まった

収穫祭のイベントで「青山ほとり」と呼ばれました。

ほとりとは青山のほとり、側という意味。

当初はニンジンを持ったりしたこともあったらしい。

それが黒の制服に白い大根が映えて、

緑の葉っぱがゆさゆさ揺れるのが壮観だということで、

大根が定着しました。

踊りの後はその大根を無料で配布して人気に。

今もその伝統を守っています。

卒業生同士の結婚も多く、

そういうときは式場に大根が20本くらい用意されて

みんなで踊ります。

「見るだけならいいが踊るのは大変」

と苦笑する高野教授。


メモ農大ならではのユニークなイベント

その名も「クッキングサミット」
ファミリーレストランチェーン、

ロイヤルホストと共同で開催しています。

これはコンテストで農大生からのアイデアを募り、

大賞を取ったメニューをロイヤルホストが

実際のメニューに取り入れるというもの。

コンテストで選ばれた作品を、

シェフと練り上げてメニューをつくります。

1回は男子学生の「ライスバーガー」が受賞。

パンでなくごはんのバーガーで、

具にレンコンを入れてしゃきしゃき感を出しました。

毎回健康を意識したメニューが採用され、

雑穀のご飯や温野菜と豚しゃぶなど、

30食も売れたんだとか。

学生にとっては賞金が10万円出て、

メニューに載って、あちこちから取材を受けて

とても喜んでいるんだそうです。


また、これとは別に農大の教授陣が

ロイヤルホストと共同開発したメニューもあります。

“健康・低カロリー”をテーマにした

「カムカム30」というもの。

30回噛む(柔らかいものばかり食べる傾向を改めよう)

30品目を摂ろうという2つの意味を持っています。

農大とロイヤルホストとのコラボレーションとして

メニューに載っているので、こちらも見つけたら

一度お試しになってはいかがでしょう?


メモエクステンションセンターで地域とつながる
エクステンションセンターでは、

毎年社会人向けにスタートする50あまりの講座。

39日から受け付け開始している。

これが、まさに農大ならではのラインナップ。

「子供チャレンジ」では、親子でパンや味噌、

ジャム、ハムソーセージ作りに挑戦したり、

お茶やチーズを作る講座、

ガーデニング講座など様々な講座を展開しています。


メモこれからの農大の役割

高野教授は、

「農業とはわれわれが生きていく上で

絶対なくならないもの」と言います。


19世紀まで暮らしは農業主体でした。

20世紀、資源を使いたい放題使った結果、

資源は大きく損なわれてしまっています。

21世紀、私たちはもう一度農業中心の人間社会を

再構築しようという情報発信をしていきたい。

リサイクル、食料自給率、環境維持、食育の問題、

そして地方の活性化にも農業は不可欠。

そのための人材育成や流通のシステムも必要。

それらを見据えてここ世田谷から情報発信を。

そのためにまずエクステンションセンターを通して

地域に農大が培っている知識を提供したい。

そして必要とされる人材を社会に送り出してして行きたい……

と高野教授。


大学はとても開放的で、

ベビーカーを押すご夫婦が散策していたり、

芸能人が「おいしい学食」と紹介したりするそうです。

社会人向けのエクステンションセンターの講座、

機会があったらぜひ一度パンフレットを

ご覧になってみませんか?

お問い合わせの電話番号は 

 03-5477-2562  

 (9001600)

高野教授の名刺には

「みどりと生命(いのち)を科学する大学 東京農大」

とあります。

世田谷にこんな素晴らしい大学があり、

それが地域に開かれていることを誇りに思いました。

世田谷コンシェルジュのブログ