音楽を、特にジャズを演奏する上で、この曲は通過しなければいけないのかもしれない。だが、オレはこの曲が吹けない。ビリーホリディが黒人差別の激しいアメリカで、バスでの移動中に見たというその光景。野ざらしの大木に絞首刑に処された黒人のことを彼女は「奇妙な果実」というタイトルの歌にした。世の中にはジェノサイドもあるし、厳しい現実もたくさんあるが、これほど生々しい芸術表現があるだろうか。
彼女の死後、マルウォルドロンがいかに彼女がいなくなって悲しいかという「レフトアローン」という曲を創り、日本の小説家が盛んに取り上げたが、何もわかっていない人間に何もいってほしくない。
芸術は残酷だ。