オレはアルトサックスを20年以上吹いている。当然、上手くなりたいと思って始めたのだが、じゃあ「上手い」ってどういうことだろう。一般的にはもの凄く速いメロディを適切な音量できれいな音で演奏できれば、客は



「ハイ、立派立派」といって手を叩くだろう。しかし、



ジャの世界に足を突っ込んでしまうと、それだけではすまなくなる。そんな演奏をしていると周りの奴から「ケッ、お上品なプレイをしやがって、このバカタレが」と、嫌われてしまう。どういう訳かジャズの世界では




個性が求められる


のだ。例えば音。人間の悲鳴のような音、楽器の構造上はムリなのに演奏できてしまう高音などを織り交ぜて演奏することが良いとされる。そして困ったことに「上手い」より、スイング感の有無が重視される。ではスイング感って何だと問われると返答に困るが、ものすごくカンタンにいうとリズム感の親戚みたいなものだ。だがその血筋の決定的な違いに、一緒に演奏しているメンバーたちと同じ瞬間にイケる能力、がヒトツある。他にもイロイロあるが、決定的な違いはココだろう。まあ、そんな専門的なことは置いといて、このようにジャズの世界ではヒジョーに判らないことをいわれるのだ。



そこで悩んだオレは、とりあえず初歩の間は言われたことをキッチリと、が、他人より大きな音でやろうと思った。ロングトーンという練習だ。このとき独自の思考回路で「100キログラムのものを1時間持ち上げられれば1キログラムのものを100時間持てるはずだ」と閃いて、これを音楽に当て嵌め「大きな音を出すチカラがあれば、小さくてキレイな音が長時間揺れずに吹けるハズだ」とアンポンタンな頭で考え、実践した。その結果、今でも音がでかくてウルサイと怒鳴られそうなら小さな音で吹けば良いので、ヒジョーに具合が良い。




次にジャズではアドリブという即興演奏をするが、コレがムツカシイ。何しろアドリブだから楽譜がない。他のメンバーの演奏を聞いてその瞬間に頭の中に閃いたメロディを、他のメンバーの演奏に合わせて、閃くと同時に音として吹かないといけないのだ。そんなヤヤコシイ理屈が初心者に判るわけはない。そして死んでも出来ない。軽音楽部に入部して5ヶ月目にブルースコード進行をバックに何か吹けといわれて何も吹けなかったとき、理屈の片鱗を理解した。ジャズをやるには、楽器を体の一部のように自由に使いこなせることが必要だと。そして必死の、そして地道なスケール練習に突入するのだ。




何の理論体系もない練習法だが、何かをするには目標があったほうが良い、とヒトの本にも書いてあるでショ。下品な音と自己満足な演奏を目指すなら、オレのやったことはヒジョーに有効だ。そんな情報で良いならいつでも共有いたします。ただし間違ってても責任は取れませんのでヨロシク。