そういえば書き忘れていたことがある。この日に来てくれた友人代表
1号から、とてもとてもありがたい提案があった。オレの家に放置され
ている洗濯物を洗濯して病室まで持ってきてあげようかというのだ。
まあ男の一人暮らし同士で何をやってんだという話もあるが、病院か
ら出られないオレとしてはヒジョーにありがたかった。友達付合いをし
ているからと言って誰が好き好んでそいつの無人の家に入って汚れ
た洗濯物を回収し、自分の家で洗濯し乾燥し、それを病院まで届け
てくれるなんてできるだろう。「ご迷惑ではござらぬか」と再三再四の
確認をしてお願いすることにした。またしてもオレは人の世話になって
いる。それにしてもありがたいことである。持つべきは優しき隣人だ。
そして日記に戻ろうかと思うのだが、このあたりの出来事がうまく思い
出せないのだ。両腕にブッ刺さっていた点滴が11月18日以降くらい
で片腕になったと思うのだが、日付が定かでない。点滴が片腕になる
というのは、点滴の量が半分になるということで画期的なことなのだ。
また喫煙のための移動にしても格段に動きやすくなるのだから、スゴ
いコトなのだが記憶がない。やはりアホである。体がズンズン回復し
ており食事は重湯から三部粥に推移していった頃でオレは浮かれて
いたのだろう。そんなことでオレの意識は自分の体の中のことから、
下界のことへと、これまたズンズンとスライドしていったのだ。
この時期かすかに覚えているのは、病院の事務員さんに入院費用の
概算を出してもらったり、生命保険の担当者に必要書類のことや手続
き方法を確認していたことだ。アホなくせに、というかアホだからという
か、調子がチョット良くなって、あわてて余計なことを考えていたのだ。
ドクターから週末までには退院できるかも、などと匂わされていたこと
も影響しているのだろう。携帯でいろいろと電話をかけまくってみた
が、悲しいかなオレは病院暮らし。書類を送ってもらうことも出来ず、
持参してもらったにしても印鑑がない。保険契約時にどの印鑑を押し
たかなど、オレが家で調べないことには、な~んも判らないのだ。
オレは途方にくれてしまった。
そして、何もしないことに態度を決めた。「まずは体を治すこと」などと、
地に足の着いた考えからではない。「何にもできましぇ~ん」とすべて
をうっちゃったのだ。人として何か間違っているのかもしれない、オレ。