そして11月5日、強烈な腹痛に襲われた。「ムギュー」と唸りながら、
体を丸め、痛みを抱え込むようにして横になる。肝臓も腫れている
ようなので左側を下にしてコロンと転がる。そうして、痛みが少しでも
治まれば水を飲みに流しにすりよっていく。それを何回か繰り返し、
やや気を取り直し「歯くらい磨かなくちゃ」と洗面台に立つと、腹の中
から今までに飲んだ水が一気に逆流してきた。1リットルくらいは充分
にあっただろう。
呆然。
「何だこれは」と。明らかに二日酔いなどというレベルではない症状が
体の中で起こっている。未知のことが体の中で起こっている。今度は
「むむむむむ」と唸りながら、吐かないように少しだけ水を飲んで再び
カブトムシの幼虫の体勢で横たわり、腹のどこが痛いのかをユックリ
探ってみる。まずは鳩尾。肋骨に沿って鳩尾の左側。肝臓の上。この
3ヶ所をメインに腹全体が痛む。「なんだ、痛いところって膵臓じゃん」
と判りはするが、じゃあ膵臓が痛くなる原因とその影響と解決方法が
まったく判らない。腹は触るだけでも痛い。食欲はまったくない。時が
経っていく。便はガスと一緒に水状のものがビッと飛び散るくらい。
「消化器系内蔵の機能が止まっとるなあ」と思いつつ夜になる。何の
解決策も思いつかない。パソコンで膵臓を調べようという元気もない。
そのうち治まるだろう、と根拠のない楽観と激しい痛みを腹に抱えて
丸まったまま浅い眠りにつく。何しろそのときのオレは深呼吸や咳や
アクビや、とにかく腹式呼吸を強いられるものは一切勘弁願いたい、
という心境だったのだ。サックス奏者は腹式呼吸が命なのに・・・・・。