40代以上の女性が主人公/大切な脇役で登場する映画100本。

40代以上の女性が主人公/大切な脇役で登場する映画100本。

人生後半戦、ロールモデルを探して42歳の女が映画を観る。その記録、もしくは同じく悩める方のためのインデックス。

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ボルベール<帰郷> [DVD]/ペネロペ・クルス,カルメン・マウラ,ロラ・ドゥエニャス

¥1,234
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監督 ペドロ・アルモドバル
出演者 ペネロペ・クルス(当時32歳/配役:ライムンダ )
ロラ・ドゥエニャス(当時35歳/配役:ソーレ )
カルメン・マウラ(当時61歳/配役:イレーネ )


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<ストーリー>
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10代のころ母親を火事で失ったライムンダ(ペネロペ・クルス)は、失業中の夫と15歳の娘パウラ(ヨアンナ・コバ)のために日々忙しく働いていた。ある日、火事で死んだはずの母親が生きているといううわさを耳にする。そんな中、肉体関係を迫ってきた父親を、パウラが殺害してしまうトラブルが発生し……。
[シネマトゥデイより http://www.cinematoday.jp/movie/T0005199]

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<ライムンダからの教え>
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この映画の特徴として、みんな実年齢よりも7~8歳くらい歳上に見えるので、
ペネロペ演じるライムンダも38~39歳くらいのつもりで書いてみる。

1)人懐っこさの魅力

とにかく人に絡んで行く。視線を合わせたり、話しかけたり、ハグしたり、一緒に何かをやったり。
ボケている叔母さんを訪問した後、帰り際の玄関で「大好きよ」と言いながら投げキッスをするのは、否応無しにかわいい。車で通り過ぎるとき、クラクションを鳴らしながら絶品の笑顔で手を振るのもずるいくらいだ。
人懐っこさとは、自分も相手も、ある意味で面倒くさい行為であり、特に都会であれば、べつに人懐っこくなくても生きていけるけれど、こういう人がいるだけで場が和み、なんだかその周りに居る自分も生きていていいのだという気がするから不思議だ。

2)美人+交渉力の強さ

美人が交渉力を持ち始めるとすごい。みんな、どんどん巻き込まれて行く。すぐに「Yes」と言ってしまう。とりあえず、人には何かものを頼んだ方がよいようだ。ほとんどの人が、手を貸してくれる。そして、頼む人が魅力的であれば、その効果たるや、すごい確率のようだ。

3)前に進む力

次から次へと事件が起こり、ライムンダは収拾をつけていくので精一杯。それでも毎日は流れ、生きていかなくてはならない。そして、彼女は一歩も止まらない。最大限のちからを出しながらぶつかって、ひとつひとつこなしていく。前に進む力を止めてはいけない。

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<ソーレ(ライムンダの姉)からの教え>
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1)地味な生き方も強し

ライムンダの華やかさとは対極に、およそスペイン人とは思えないほどに地味。ルックスも性格も、行動さえも地味。でも、彼女のことを必要とする人はたくさん居て、その美貌ゆえにライムンダが抱えた悩みのようなものとは無縁である。地味というのは、もっとも強く必要とされるものなのかもしれない。

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<イレーネ(ライムンダの母)からの教え>
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1)歳を取ったら、絶対に明るい色の服を着よう

胸元がV字に開いた、真っ赤なワンピースがとても似合う。綺麗な色のワンピースに、カーディガン、ぺたんこ靴という、南ヨーロッパのお婆さんファッションが好きだ。墓石を掃除するときまで、みんなこんな素敵な格好だ。強い風を防ごうと、頭にスカーフを巻いている人もいる。歳を取ったら、絶対に明るい色の服を着ようと思う。そして、できるかぎりスカートをチョイスしたい。
バチカンで逢いましょう [DVD]/マリアンネ・ゼーゲブレヒト,アネット・フィラー,ミリアム・シュタイン

¥4,104
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監督 トミー・ビガント
出演者 マリアンネ・ゼーゲブレヒト(当時67歳/配役:マルガレーテ )
    アネット・フィラー(当時38歳/配役:マリー )


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<ストーリー>
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カナダの大自然の中で暮らすドイツ人のマルガレーテは、最愛の夫に先立たれ、都会に住む娘のマリーの家族と同居することになる。
また、マルガレーテが40年間切望していた”ローマ法王謁見”の旅に、一家で向かう約束をしていたが、それもキャンセルされてしまい、マルガレーテは思い切って一人でイタリアへ飛ぶが…。

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<マルガレーテからの教え>
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1)明るく楽しく

とにかく見ていて気持ちがいい。表情が常に明るく、状況を楽しんでいる感じが伝わってくる。
喜怒哀楽、すべてを愛しているような生き様がかっこいい。
見かけは70歳でも、心意気が若ければ、若者からも愛されるようだ。

2)やりたいことは、とにかくやる

我慢なんかしていない。ローマ法王に会いに行きたいと思ったら、行く。
レストランでの食事がまずければ、自分で厨房で作る。
弱い者には親切だが、ずるい者には果敢に挑む。
いくつになっても、言葉が違ったって、やりたいようにやればいいのだ。

3)普通に家事をこなせるかっこよさ

孫が住むローマの部屋は荒れ切っているが、マルガレーテはさっさと掃除をして、露出されたポルノ画の女性の胸には、ローマ法王の写真を貼って隠してしまう(笑)。
突然作る機会が訪れたドイツのデザート100人分も、つべこべ言わずにさっさと作る。
レストランでシェフを任されれば、美味しいランチを振る舞う。
ごく普通に、生活の延長線上で、料理や掃除などが出来る人は本当に素敵だ。

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<マリーからの教え>
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1)人の人生に首を突っ込み過ぎない

老いも若きも、それぞれ自分の人生についてよく考えているし、人に道筋を作って欲しいとは思っていない。マリーは責任感が強すぎるのか、とにかく家族の人生を、自分でコントロールしようとしすぎだ。決して悪意はなく、よかれと思ってやっているのだが、すべて裏目に出ている。
人の生き様には、基本的にはタッチしない方がよさそうだ。困っている人や、助けを求めている人に対しては、出来る限り手を差し伸べたいと思うが、それ以外については、興味を示しつつも傍観しているのがいいのではないかと思う。

2)のんびりしている方がいい

あくせくしている女性ほど、魅力に欠けるものはない。どんなに綺麗でもダメ。
女性は、ちょっとのんびり構えているくらいの方がいい。女性だけでなく、男性もそうかな。ゆとりのある人の方が、一緒に居たいなあと思う。



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アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生 コレクターズ・エディション [DVD]/ジョン・レノン,オノ・ヨーコ,デミ・ムーア

¥5,076
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監督 バーバラ・リーボヴィッツ
出演者 アニー・リーボヴィッツ(当時58歳/配役:本人 )
    アナ・ウィンター(当時57歳/配役:本人 )
    
    その他大勢のセレブリティたち

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<ストーリー>
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世界一有名とも言われる、アメリカ人女性写真家のアニー・リーボヴィッツ。
若い頃はローリングストーン誌でロックカルチャーを追いかけ、ロック界では他の追随を許さないフォトグラファーとなった。麻薬で一時活動休止した後は、ファッション誌のヴァニティ・フェアでセレブリティたちの大掛かりな写真を撮る。彼女の破天荒な生き様を追ったドキュメンタリー。

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<リーボヴィッツからの教え>
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1)仕事は全力で
 
写真を撮ることへの、向かう姿勢と執念が違う。ロックミュージシャンたちの自然な顔を撮りたいときには、彼らの生活に入り込んでから。豪華なファッション写真を撮るときには、セットや衣装にこだわりぬいてから。他の人から何かを学んだら、そこから自分のスタイルを構築するために、惜しみない時間を費やし、思考を重ねる。いつ何時も、仕事に対して全力で取り組む姿勢が、見ていて清々しく力強い。

2)人を気持ちよくさせるスキル
 
世界一有名と言われるほどの彼女は、決して威張っていない。現場では誰よりも動いているし、被写体がリラックスして撮影に臨めるよう、いつも笑顔でポジティブな気持ちになれる言葉を投げかけている。人の素顔を撮るときは、まずは生活に入り込んで、空気のような存在になるそうだ。
アーティストだからといって、自分の存在を強烈に放つ必要はないのかもしれない。無我の精神で、するっと相手の中に飛び込み、相手の素材を引き出して行くことのほうが、自由度が高くクリエイティブな作業なのかもしれない。

3)ライフワーク=仕事、の幸せ
 
「フォトグラファーにとって人生とは?」という質問に対し、「レンズ越しに見る人生ね」と答えていた。また、「どんなときにもアングルを考えている」とも言っていた。さらに「(同性のパートナーが死んでしまった今、)最後まで残った友達は、やっぱり写真ね」とも言っている。彼女にとって、生きることはすなわち写真を撮ること。そう言い切れる人生の幸せを、羨ましく思う。

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<アナ・ウィンターからの教え>
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1)仕事人としての度量の大きさ、腹のくくり方
 
たくさん出てくるセレブリティの中でも、ひときわ目立っていたアナ。彼女いわく、リーボヴィッツはフォトセッションをするときに、予算をまるで気にしないのだそうだ。雑誌をつくる側とすればそれは大変なことだけれども、そんなことはどうでもいいことだと言っていた。なぜなら、リーボヴィッツは常に真剣で、必ず予想を上回る写真を雑誌に提供するからと。
こういい切れるアナはやっぱりかっこいい。米ヴォーグ編集長として採算に対する責任は当然あるだろうが、そんなことは芸術性やクオリティのためならどうとでもしてやるという、すさまじい腹のくくり方を見て、ため息が出る。かっこいいなあ。


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草原の椅子 [DVD]/佐藤浩市,西村雅彦,吉瀬美智子

¥4,104
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監督 成島出
出演者
佐藤浩市(当時52歳/配役:遠間 )
西村雅彦(当時52歳/配役:富樫 )
吉瀬美智子(当時38歳/配役:貴志子 )
若村麻由美(当時46歳/配役:道代 )


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<ストーリー>
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大企業の営業部で管理職をしている遠間は、日々の理不尽な仕事にやるせなさを感じている。そんなとき、クライアントで同い年の富樫から「親友になろう」と持ちかけられ、いろいろなことを話すようになる。また、タクシーの中から見かけた貴志子が気になり、彼女の店に通うようになる。
遠間はバツイチで、大学生になる娘と二人暮らしをしているが、ある日、娘が言語障害のある子ども、圭輔を家に連れてくる。母親に虐待された子で、父親も面倒を見られないから、家で預かりたいと言う。遠間を中心に、富樫、貴志子、圭輔、ふとしたことから出会った4人が織りなす出来事、そして、みんなで一緒にパキスタンへ向かうクライマックス…

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<貴志子からの教え>
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1)美しさは日々の動作から

タクシーの中から見初められるほどの美しさとは。そのとき彼女は、着物姿で風呂敷包みを持ち、雨宿りをしていた。まるで映画のワンシーンみたいだった(ワンシーンなのだけれど)。
美しさとは、ひとつひとつの動作の積み重ねだと、改めて気づく。見られているときだけ綺麗にしてもだめだ。

2)料理の効能

遠間がはしかにかかって寝込んでいるとき、土鍋でおじやをつくる貴志子。ものすごいベタだが、このおじやが美味しいのである。それが大切。何かの本に書いてあったな、「料理は一点突破でよい、おかゆだけ練習せよ」(笑)。なるほど。

3)言うときは言う

ふだんは優しくて笑顔でいるのが理想だが、やはり40くらいになったら、言うべきときには言えることが大切だと感じる。貴志子は、一度だけ強い口調で遠間に箴言するが、その「一度だけ」と「本当に大切なこと」が重なったとき、言葉は重みを持つのだろう。

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<道代からの教え>
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1)きつい言葉は使わない方がいい

久しぶりに会った遠間と道代。離婚してから時間も経っているし、元妻からしたら、別れた夫など特に用もないのかもしれないが、会話があまりに味気なく冷たい感じがして、淋しい。
なによりも思うのは、そんなにきつい言葉を使わなくてもいいじゃないということだ。どうしても好きになれない人や、裏切られたと思う相手に対しては、敢えてそういう言葉を使いたくなる気持ちもわかる。でも、それを口に出した途端、惨めな感じになるのは、言ってやった相手ではなく、口に出した自分自身なのだということは、忘れないでおこうと思う。


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愛と哀しみの果て [DVD]/ロバート・レッドフォード,メリル・ストリープ,クラウス・マリア・ブランダウアー

¥1,543
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監督 シドニー・ポラック
出演者 メリル・ストリープ(当時36歳/配役:カレン )
ロバート・レッドフォード(当時49歳/配役:デニス )

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<ストーリー>
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デンマークの裕福な家庭で育ったカレンは、日々の生活に退屈していた。
そこで、利害が一致する古くからの友人と結婚し、アフリカで酪農を営むことを決意する。
アフリカでの生活は、まるで壮大な叙事詩のように、めくるめく。
運命の人デニスとの出会い、重い病気、夫との離婚、現住民たちとの生活、そして農園の焼失…
アフリカでカレンが見つけたものとは、そして手に入れたものとは。

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<カレンからの教え>
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1)人生は諸行無常

ものごとは、すべて変化する。常に揺れ動く。自分の言動をきっかけに始まる変化もあれば、思いがけず起こった事件や、他者の一言から動きだすこともある。いずれにしても、今この瞬間はやはり瞬間でしか無く、次に起こることなど誰にもわからないということだけは確かなようだ。

話中、マサイ族のエピソードが出てくる。マサイ族は監禁されると死んでしまうのだそうだ。彼らの思想として「未来を考える」というパターンはなく、常にこの瞬間だけを生きているので、監禁され自由を奪われたら死んでしまうのだそうだ。そのくらいシンプルに、今に集中して生きていくというのも、この世の中をサバイブしていくためには必要なことなのかも、と思った。

2)持って生まれた性質は、なかなか変わらない

カレンもデニスも、ともに知的で自由で、実に魅力的だ。そしてお互いに愛し合っている。でも、互いに互いを手に入れられないもどかしさを感じている。なぜだろう。それは、どちらも自分を譲らないからだ。自分が信ずるところ、もっとも大切にしているところを曲げずに、相手が自分に寄り添ってくれることを期待している。もしくは、分かり合えることなどないと、その部分を切り捨てている。

どうするのがもっともよいのかはわからないが、互いが互いを尊重できるとよいと思う。無責任な感じもするが、どんなに好きでも人は人、自分は自分と割りきって、相手の考えを受け止めるくらいの寛容さは持ちたいものだと感じる。その上で、自分の考え方も受け止めて貰えたら最高。まあ、好きであればあるほど、そんなに簡単には割り切れないと思うけど。

3)人によって態度を変えない

カレンの最大の長所のひとつは、いつも凛として、自分の考えをきちんと発信していることだと思う。とりあえず笑ったりなど一切しないし、立場が上の人に対しても態度は変わらない。そして、原住民の子供たちに対しても同じように接する。一人ひとりを尊重して、本当に思ったことを口にしているから、本気で聞いている人には伝わっている。

そして、日々の暮らしの中では、わりと多くの場面で「なんとなくいい人」モードで動いてしまっている自分にふと気づき、少し残念な気持ちになる。言葉を多く発しすぎなのかもしれない。ちょっと気をつけて、言葉を丁寧に選びながら話してみようと思った。

4)すべて失っても、何かをやった人生の方が力強い

カレンの好奇心の強さは、あの時代や階級の女性の中では、かなり異質だったと思う。そんなことは分かった上で、やりたいことはすべてやり、納得し、そしてすべて失ったカレン。でも、失ったものの多くは恐らく目に見える類のもので、彼女に残った気持ちや思い出、経験、人としての深さなどは、清々しささえ、彼女に与えていると思う。

人はそれぞれ大切にしたいものが異なると思うが、個人的には、潔いカレンの生き方が好きだ。金持ちのヨーロッパ人が、アフリカ大陸に渡って恋と冒険をして、すってんてんになって国に帰る。これ以上の浪漫なんて、ないんじゃないかな。
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なんだか今日は、自分の気持ちを書きすぎてしまったな。
3時間弱の長くて古い映画だったけど、思うところが多くて面白かった。観てよかった❏


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Wronged Man [DVD] [Import]/出演者不明

¥価格不明
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監督 トム・マクローリン
出演者 ジュリア・オーモンド(当時45歳/配役:プリシー )
   マハーシャラルハズバズ・アリ(当時36歳/配役:カルヴァン )

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<ストーリー>
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カルヴァンは少女を強姦した罪で刑務所に入れられるが、弁護士秘書であるプリシーは、その事件に不正の匂いを感じる。再審は何度も棄却され八方塞がりになりながらも、地道に調査を勧めるプリシー。そして20年以上の投獄の末、カルヴァンの無実が明かされる…。実話を元にした映画。

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<プリシーの教え>
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1)信じ続けることの強さ

20年以上もの投獄生活の中で、カルヴァンが自暴自棄にならず、ひたすら希望を持って釈放のときを待てたのはなぜか。一つは、自分自身の無罪を強く信じることができていたからだろう。そしてもうひとつは、プリシーが自分の無実を信じ、見捨てずに協力をし続けてくれているという、心の支えがあったからだろう。
一方プリシーも、カルヴァンを信じ続けることで、何かとても強い自分自身の芯のようなものを作り出しているように見える。
信じるということ、しかも、信じ続けるということは、人に大きな力を与えるのだろう。信じる対象は何でもいいのだけれど、信じなかったり疑ったりするよりは、ただ信じる方が、よほど精神的に安らかで温かみがあり、人にプラスのエネルギーを与えるものなのだろう。

2)トラウマは持たなくていい

プリシーは、若い頃にレイプされた経験が深いトラウマとして残っている。また、自分と結婚する男性が次々に死んでしまうことも、自分のせいだと思っている。そういう思い込み、トラウマというのは、何よりも自分を追い込んでいくものなのだと思った。
カルヴァンの事件に対して、あれだけの許容と客観性、忍耐力を持つプリシーが、こと自分のトラウマとなると、非論理的にただパニックを起こして、子どものようになってしまう。嫌なことがあっても、あっという間に忘れて捨ててしまえばいい。トラウマなんて、できるかぎり持たない方がきっとよいのだろう。

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<カルヴァンのおばあさんの教え>
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1)穏やかで毅然とした態度の持つ力

カルヴァンの妻は、自分の置かれた辛い状況に耐えかねて、刑務所にいるカルヴァンをなじった。そして、他の男性と結婚し子どもをもうけた。一方でカルヴァンのおばあさんは、どんなときにも前向きに、穏やかで明るい表情を崩さず、神や人々に感謝しながら前に進んだ。そして、カルヴァンの無実を証明するために必要な費用を集めた。
ふたりとも、ひとしくカルヴァンを愛していたし、状況は同じだった。しかし、一人は泣き、一人は穏やかな表情で前に進んだ。おばあさんの生きる態度から学ぶことは多い。


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イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]/エミール・ハーシュ,マーシャ・ゲイ・ハーデン,ウィリアム・ハート

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監督 ショーン・ペン
出演者 エミール・ハーシュ(当時22歳/配役:クリス )
    キャサリン・キーナー(当時48歳/配役:ジャン )

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<ストーリー>
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クリスは裕福な家庭で育ち優秀な成績で大学を卒業するが、突如家から姿を消し、アラスカに向かって旅立つ。金や権力などから離れ、自分の力だけで荒野の中を生きてみると決めたのだ。また、ずっと不仲で、自分や妹を苦しめてきた両親のことを、許すことができないままでいる。旅の途中でさまざまな人たちに出会い、人生や人間関係について考えるクリスは、遂にアラスカに辿り着くが…

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<ジャンの教え>
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1)知的ボヘミアンはかっこいい

ジャンは旅の途中で出会った女性で、ヒッピースタイルの生活をしている。歳のころはもう50くらいだというのに、なんかめちゃめちゃかわいくて、かっこいい。艶のなくなった長い髪も、皺のある顔も、弛みかけた二の腕も、なぜかオシャレに見える。
たぶんそれは、無意識に漂う知性や品性の賜物(たまもの)だと思う。そしてその知性は、ボヘミアンという”精神的に自由な生き方”の上に乗っかっているものだからこそ、かっこよさを放つ。逆に、規範の中でがんじがらめになっている知性は、とても不自由に映るものかもしれない。

2)手作りのプレゼントができる人は素敵

クリスが旅立つとき、ジャンが照れながら包み紙を渡す。開けてみると、ヒッピーらしい、ざっくり編みのニット帽。映画の中でジャンがそれを編んでいるシーンなどどこにも無いが、私はそれを見た瞬間、ジャンが編んだものだと確信した。そう思わせる雰囲気がジャンにはある。
誰かのために時間をかけ何かを作り、それをきちんと渡せる人は素敵だと思う。たとえそれが素朴なものであったとしても、作った人の心の綺麗さと自信を表しているような気がする。

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<旅の教え>
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・ユーモアを忘れずに生きている人たちは楽しそう
・都会で生活するならお金は必要、荒野で暮らすならスキルが必要、どちらにも孤独は伴う
・欲しいものは、手を伸ばして掴むものだ
・年長者や老人の話には耳を傾ける価値が充分にある(従う必要はない)
・誰かを許すことは、自分を解放すること
・自分の力を過信してはいけない(特に大自然に対して)
・”自分は幸せ”と感じている人が一番幸せ
・人生は基本的に自由、どんな生き方をしてもよい、選択するのは自分
・人は、自分以外の人と心が交わったときに幸せを感じ、優しくなり、涙するもののようだ


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PARIS-パリ- (通常版) [DVD]/ジュリエット・ビノシュ,ロマン・デュリス,ファブリス・ルキーニ

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監督 セドリック・クラピッシュ
出演者 ジュリエット・ビノシュ(当時44歳/配役:エリーズ )

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<ストーリー>
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エリーズはパリで3人の子どもを育てるシングルマザー、生活は楽ではない。弟のピエールはプロのダンサーだったが心臓の病にかかり、移植をしなければ死んでしまうと宣告される…
その他、たくさんのパリジャン・パリジェンヌが登場し、それぞれの生活が描かれ、交錯していく。

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<エリーズからの教え>
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1)自然な表情がきれいな人は、美しい

44歳のビノシュが、驚くほど美しい。若い時よりも美しいのではないかと思うほど。他にも登場している同世代と比べて何が違うか。圧倒的に表情がキレイだと感じる。目やまつげの動き方、笑う時の口の開け方、悩んでいるときの憂いの顔。ひとつひとつがわざとらしくなく自然で、神々しい感じがする。
そして、薄いメイクがそれをさらに引き立たせている。クマも皺も見えるけれど、彼女だけが持つ表情。眉や目をメイクで作ってしまっていたら、あの雰囲気は出ないだろう。

2)人のことを気にかける優しさ

子持ちで40歳で男にモテない自分、と頑なに思っているようだが、全然そんなことはない。体よく人に接するような器用さはないが、本当に困っている人を見かけたら、無視をせずに声をかけている。大都会では、なかなかできないことだと思う。ファッションや恋愛事に夢中のパリジェンヌが画面上を闊歩する中で、地に足のついた彼女の魅力は光る。

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<その他の女性からの教え>
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・複数の男性に同時並行でいい顔をするのは、やっぱり辞めた方がよさそうだ
・40歳を超えて身軽に気ままに暮らしているのは、自由とともに儚さも感じる
・生活にまったく困っていない女性たちが、グループで着飾って遊んでいると、滑稽さと儚さを感じる
・誠実にまっとうに努力している人は、それだけで美しく見える



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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 コレクターズ・エディション [DVD]/メリル・ストリープ,ジム・ブロードベント,アレキサンドラ・ローチ

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監督:フィリダ・ロイド
出演者:メリル・ストリープ(当時62歳/配役:マーガレット・サッチャー )

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<ストーリー>
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引退し余生を過ごしている英国のサッチャー元首相は、亡き夫であるデニスの幻覚を見ながら、自分の人生を振り返る日々を過ごす。「鉄の女」と言われた首相としての手腕と、一方で労働者階級からは鬼呼ばわりされることへの葛藤、強すぎる態度に離れていく部下や家族。さまざまな感情が織り交ざりながら、過去を整理しようとする一人の女性を描く。

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<マーガレット・サッチャーからの教え>
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1)何かをするのに年齢は関係ない

サッチャーが首相に就任したのは54歳の時で、退任までの11年間、つまり65歳まで英国のトップだったということだ。私は、40代に入ってから心も体もぐっと疲れやすくなり、人間のエナジーレベルは30代がピークなのかしらと思っていたが、とんでもなかった。少なくとも、サッチャーという女性は、50~60代にかけて、世界を牛耳るパワーを見せることができたのだから、人間が何かをするのに年齢は関係ないということだろう。

2)人生はトレードオフ

彼女は、「女性は家庭人たるべきだ」という時代から勉強し、オックスフォードへ行き、政治家となった。しかしその代わりに、当時の男性議員からは馬鹿にされ、女性からも特別視され、また家庭を持ってからは子どもたちと疎遠になっていく。

最近、「すべてを手に入れよう!」というようなメッセージが多いが、ある程度のレベルまでであれば、やりたいことは全部やって、すべてを手に入れたような気分を味わえるのだろう。そして、それで満足できるのであれば、それが一番幸せなのかもしれない(もしくは、一番幸せそうに見えるのかもしれない)。しかし、何かを突き詰めようと思ったら、やはりそこに全力投球をする必要があり、そのためにはトレードオフとして何かをあきらめざるを得ないのだろうなとも思う。

3)手に入れたものの大きさだけ、無くしたときのショックも大きい

サッチャーは英国首相として、英国だけでなくヨーロッパ全体、ひいては世界全体のリーダーとして、重責を担いパワーをフル稼働して活躍していた。すべての言動や決断が注目され、彼女の動向で世界の風向きが変わった。
そんな彼女が失脚して退任後、待ち構えていた老後の人生とは。亡き夫の幻覚とともに生き、過去の政治人生を振り返り、ときに自分の言動を反省し、ときに現代の政治を嘆き、ふと老いて独りでいる自分に気づく瞬間がある。

人は、いろいろなものを手に入れたいと思い頑張るが、手に入れることよりも、いったん手に入れてからそれを失うことの方が、実は自分に対するインパクトは大きいものかもしれない。祭りが終わったときの寂しさに似て、こらえようのない孤独や虚しさに襲われるのかもしれない。人生は、いろいろアップダウンがあるけれど、平均してならせば、みな同じ直線になるのかもしれない。


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チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~ [DVD]/マチュー・アマルリック,マリア・デ・メディロス,イザベラ・ロッセリーニ

¥4,104
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監督:マルジャン・サトラピ
出演者:マチュー・アマルリック(当時45歳/配役:ナセル・アリ )
    マリア・デ・メデイロス(当時46歳/配役:ファランギース )

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<ストーリー>
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バイオリニストのナセル・アリと、妻ファランギースは仲が悪く、怒鳴り合いの喧嘩ばかりの日々。ある日、いつも通りの喧嘩の最中に、ナセルが何よりも大切にしているバイオリンを、ファランギースが投げつけて壊してしまう。代わりの名器を探すナセルだが、巡りあうことができずに絶望する。自ら死を選ぶ覚悟をしたナセルが、死を迎えるまでの8日間に過去を回想する…

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<ファランギースからの教え>
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1)相思相愛の人と結婚すべし

世の中の多くの人たちが、結婚当時は相思相愛だと思う。それが、いつのまにか恋愛感情が無くなり、惰性で一緒にいるか、もしくは離婚するかという決断をするのが一般的なようだ。
が、ファランギースは気の毒だ。子どもの頃からナセルのことが好きで、なんとか結婚までこぎつけたのに、彼は最初から彼女のことなんか好きじゃなかったのだ。死の直前まで、やはり好きじゃない。そして、それを最後に彼女に言い放った。
結末はどうであれ、やはりまずは相思相愛の人と結婚する方がいいなと思った。

2)相手が大切にしているものは、大切にする

バイオリンを投げつけたのは致命的だった。バイオリンのことを、「ただのモノ」呼ばわりしたのも追い打ちをかけた。誰にでも、大事にしているものや、守りたいと思っているものはある。そういうものだけは、壊さないようにしたい。例え自分のものが壊されたとしても、相手のそれを壊してよい権利はない。その一線だけは、人として守りたいものだ。

3)好きだと思ったら、尊敬の意を示そう

ファランギースのナセルへの愛は、悲しいかな、まったく伝わってこない。ナセルは芸術家だ。そんな彼に対し、稼ぎの少ないことをなじり、家事ができないことを罵る。喧嘩腰で怒鳴ってばかり。そりゃあ、どんなに愛していても、その気持は伝わらない。
愛情を伝えるのが難しければ、尊敬の意を示すのがよいと思う。
ナセルの母が死に際に、「庭でバイオリンを弾いて」とナセルに頼む。「あなたのバイオリンは素晴らしいから」と。こういうちょっとした一言が、もっともダイレクトに相手に届くような気がする。


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