昔、喫茶店でバイトしてたの。
そこのママ、すげぇ‘やり手ママ’で、マジ叩き上げ。
一代で自宅をビルに仕立て上げたママ。
そこの一階が喫茶店だった訳。
そこの喫茶店の常連の客で、やくざのおっちゃんがおった。
いっつも微妙な質問しては、戸惑う私をからかって‘ケラケラ’笑うおっちゃんやったけど、パッと見ただけで、‘ほんまもん’と分かる眼光するどいオヤジだった。
ある日。
喫茶店に当時の彼氏から私宛に、ダンボールいっぱいのぬいぐるみが送られてきた。
ぬいぐるみセンスとしては、‘ハシにもボウにもふれへん’ナンセンスぬいぐるみやったから、気持ちだけ頂くことにして、そのまま喫茶店のカウンターに‘ボンッ!!’って置いといたわけ。
そしたらいつものやくざのおっちゃんがやって来たの。
ちょうど珍しくママがいて、突然ものすんごい事言い出した。
‘セシルはな。優しい子でな。ボランティアしてるねん。
そこのダンボールのぬいぐるみ、それ一個売れたら恵まれない子に寄付してるんや。
あんた、一個買ってあげ。’
・・・・・ママ?何言ってんの?
やくざのおやじもちょっとドキドキしてるやんか!
‘ほ、ほんまか・・・。ほな一個買うわ。
この小さいのな。’
と言って¥1000出してくれたわけ。
ママ、すかさず‘あんたやくざのくせにケチやな~!たったの¥1000かいな!?’
・・・・・・ママ?またまた何言ってんの?
コレ、私のタダのもらい物ですよ?
‘え~!?ほんなら・・・’
と、またさらに¥1000出してくれた心優しいやくざさん。
ママ、まだ許しません。
‘あんた!ほんまにケチやな!セシルはボランティアしてんねんで!!
もっと気前よう出したり!‘
・・・・・・ママ?もういいよ・・・。やくざ台無しやんか・・・。
結局¥3000支払わされたやくざのおっちゃん。
しかもぬいぐるみなんか元々いるはずもなく、あえて一番小さいひよこのぬいぐるみを選んだのに、そこにつけ込むママ、最後に驚愕の一言。
‘あんたヒヨコのぬいぐるみなんかいらんやろ?
返して!また別の人に売るから!’
・・・・・・・うそ~ん!byやくざのおっちゃん
こうしておっちゃんは店を出る最後に、‘ママ、ほんまぼったくりやな!’と一言残して帰って行った。
そら、一代で自宅がビルになるわな!