もう5、6年ほど前のことになります。映画の舞台挨拶で、福山雅治さんがこんなお話をしていました。
「“いつか買おう”と思っていた時計があって。“この時計が似合う男になったら”と、ずっと先送りにしていたんです。ようやく買ったのは、わりと最近。でもその時計、文字盤の文字が小さくて……近くても遠くても見えないんですよ」
「今は見えないまま使っています」と付け加えました。
先送りしてた時計とはパテックフィリップのよう。
そのエピソードが、なぜかずっと心に残っています。
欲しいものを“いつか”にしているうちに、時間だけが静かに進んでしまうこと。手に入れた頃には、自分のほうが少し変わってしまっていること。そんなこと、人生には案外あるのかもしれません。
我が家は、節約よりも「欲しいと思ったら今」が基本です。旅行にも行きますし、欲しいものがあれば、少し悩みながらも購入します。もちろん、散財気味だなと思うこともあります。それでも、これでいいと感じています。
なぜなら、欲しいものには“いちばん輝くタイミング”があると気づいたから。旬を過ぎて手にしても、あのとき感じたはずのときめきや感動は、少し薄れてしまうのです。
たとえば、旅行。以前はアメリカ横断に強く憧れていました。でも今は、「なんだか違うかも」と思うのです。時間もお金も用意できるはずなのに、気持ちがついてこない。行きたい気持ちはすでに旬を過ぎて、今では少し大変そうだな、と感じてしまいます。
家族との時間も、きっと同じなのだと思います。特に子どもの成長は驚くほど早くて、待ってくれません。昨日まで一緒にしていたことが、実は最後だった——そんなことも、あとから気づくものです。
だから私は、子どもとの思い出づくりには、時間もお金も惜しまないと決めています。「いつか」ではなく、「今」。
欲しいものも、行きたい場所も、抱きしめたい時間も。心が動いたその瞬間こそが、いちばんの“買いどき”なのだと思うのです。
とはいえ、時計選びはまだ迷っています。
老眼が本格的にやってくる前に買わないとです!

