アナハゼ属魚類(日本周辺に6-7種))は、

ハゼと名がついていて、

一見ハゼと見間違えますが、

ハゼ目ではなく、

カサゴ目(近い将来、分類群として、

分解される可能性あり)の、

カジカ科に属します

他人の空似といったところです

 

カジカ科魚類の特徴は、

前鰓蓋骨棘という、

鰓蓋の何枚かの薄い骨のうち、

前側の骨から延びる、

1-4本の棘があることです

 

アナハゼ属はじめいくつかの種類では、

鱗は微小で皮膚の中に埋没し、

代わりに体が粘液で覆われています

このヌメリが臭いと、敬遠され勝ちですが、

丁寧に落とすと、

カジカの仲間にふさわしく、

美味しく食べられる魚です

 

アナハゼ属魚類も、

分類の難しい、

そして近年新種がいくつか見つかっており、

これから名の変わる、

可能性の多い魚の1つでしょう

 

アナハゼ属の中で、

瀬戸内で釣り魚としてよく目にする魚として、

アサヒアナハゼがあります

 

側線上には小さな皮弁(ヒラヒラした皮膚の膜)があり、

口の後端は目の後端まで徹していません

また比較的体がずんぐりし、

腹側に白斑が見られます

 

近縁のアヤアナハゼは皮弁が同じですが、

体は比較的即偏しているけれど尾の付け根は、

逆に横に平べったい姿で、

全体にシャープな姿です

 

また、アナハゼでは皮弁は痕跡的です

そして、口の後端が目の後端の後ろまで達しています

 

さらに、これも比較的よく見かける、

オビアナハゼでは、

第1背鰭の前端,後端に黒斑があり、

体測に数本の横縞があること

口の後端が目の後端より前らしく見えること

アナハゼに比べ、ややずんぐりした体形に見えることで、

詳しく見れば、違いがあります

 

ただ、アナハゼ類には複数の変位型もあり、

近い将来、

分類が大幅に変更される可能性があります

 

カジカ科魚類自体、

将来いくつかに分解される可能性がありそうですが、

カジカをはじめとする、

淡水産には見られないながら、

海-汽水域のカジカ類のいくつかの種では、

交尾してメスが、

受精卵を産卵することが報告されています

 

それも、メスの体内では精子と卵は受精せず、

海水に触れて初めて受精するので、

場合によっては何ヶ月も、

未授精のままでいるそうです

 

アナハゼ属魚類は全体として、

メスがホヤなどの体内に産卵するための輸卵管、

そして雄が雌に交接するための輸精管が、

いずれも長くて大きいことから、

なんと、○○○ダシ、○○○ハゼという、

まことに不名誉な方言で呼ばれることがあります

 

広島湾沿岸で呼ばれることが多いようですが、

和歌山でも言うとの記録もあります

 

他にも、ダラウオ、ヘヒリという、

雑魚扱いがよく分る方言もあるようです

 

ただ、その変な名前よりも、

交尾後、あまり大きさの違わないオスを、

メスが共食いしてしまうことが良くあるようで、

こちらの方が驚異的かもしれません 

不思議な魚です(2022.5)

 

追記(2023.6)

アナハゼ類に関し質問があったことから、

以前別にお答えした話を、

少し手直ししました