ペットと飼い主さんを言葉でつなぐ
動物対話士®️ 上田 真一郎 です。
東京は薄っすらと雪化粧する程度で雨に変わ
り、冷たい雨が一日中降り続いています。
蝋梅と梅の共演は雨の中でも映えます
こんなに冷える夜はぬる燗に限りますね。
「冷えるねぇ」
と、来宮良子さんの声が聞こえてきそう。
旅先で美味しいお酒とご飯にありつけると、
なんだかその街に認めてもらえた様な、よう
やく受け入れてくれた気がします。
もう一度、このお店に戻ってこなければ、と
思えるお店もなかなか出逢えないのですが。
とある寒い寒い門司の夜。
その日の予定を終え、冷え切った体を温めら
れるものを探して街を彷徨ったのですが、寂
れたアーケードとその周辺は殆どのシャッタ
ーが下りていたのです。
何処からか、下手くそなカラオケが流れてき
ました。雑居ビルに幾つか飲み屋が入ってい
る様でした。
知らない街でこんなビルに入るのはとても勇
気が必要なのですが、その夜は心の何処かで
この街の承認を得られるのかどうかを試した
い、そんな気分だったのかも知れません。
恐る恐るビルの奥へと入っていくと、一軒の
おでん屋さんがありました。
旅人の勘はゴーサインを出しています。
暖簾をくぐってお店に入ると、カウンターだ
けの小さなお店で、六〜七人も座れば満杯に
なりそう。
優しそうなおばさんが一人で切り盛りしてい
るお店で、お酒は四国の川鶴樽酒のみ。
おでんは柚子胡椒でいただきます。
毎朝近くの市場で仕入れた材料だけでタネを
作っているそうで、川鶴の樽酒も市場では買
う事が出来ません。
普段、外で一人の時は日本酒は呑まない約束
なのですが、この夜は例外と決めました。
きっとこれまで食べたおでんで一番美味しか
ったと思います。
樽酒を三杯ほど頂いて宿へと戻りました。
帰り際に女将さんが
「ご縁があったらまたお会いしましょう」
と外まで見送ってくれたのですが、その三年
後に再び暖簾をくぐると、覚えていてくれた
のです。
いろんな意味であたたかな旅の思い出です。
お店を後にする時もまだ、下手くそなカラオ
ケは続いていたのですが、その調子外れな歌
が妙に心に沁みた夜でもありました。
その時の曲がリバーサイドホテル。
タンバリンも彩を添えていました。
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