あのときから | 短編愛好 -たんぺんアイス-

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今から15年前、世の中はミレニアムだと騒いでいた西暦2000年。

離婚問題と父の末期がんで、私の精神状態はかなりやばかった。

夜中に裸足で外をさまよったり、

ふらふらと知らない倉庫に入って警察沙汰になったり、

(その時のことは全く記憶にないのだが)

誰かに狙われてると思い込んで盗聴器や隠しカメラを探したり。

気が付くと、冬の海に膝まで入っていたり。

あのまま沖まで行っていたら、

恐らく命はなかったのかもしれない。

この時期に、向田邦子さんの『父の詫び状」という本を古本屋で見つけて、

「この人は私の母親だ」と思い込んでしまった。

正真正銘自分の母親はいるにもかかわらず、

「ああ、私の母親は飛行機事故で死んでしまっていたなんて」

と本気で思ったのだ。

本の内容が、母親を感じさせるくらい

素晴らしかったのも確かだが。


15年たったけれど、今でも情緒不安定。

「離婚して気がふれた」ということをよく聞くが、

本当にそうなった。

だから離婚なんかするもんじゃない。

もちろん離婚しても、ひとりで立派に生きている人もいれば、

再婚して幸せになっている人はいくらでもいるけれど。

私の場合、自分は人より強い人間だと思っていたが、

本当は弱い人間だった。

あの時から、

私の魂は死んでしまった。