「わあ、きれい! ありがとう!」
あたしのネイルを喜んでくれる人、
あたしが作った紅い指に微笑んでくれる人、
そして作るときに触れる指の温かい感触は、
母のぬくもりを思い出す瞬間。
「マリアちゃんすごいね!
また雑誌に紹介されてるよ」
愛子は屈託のない笑顔で、
あたしが作った指を自慢げに見せるモデルが
載ってるページを切り取り、壁に貼る。
愛子は奨学金で大学に通ってる。
将来は教師になるって。
あたしは高校を中退してネイルサロンでバイトを始めた。
あたしが作る紅い指は、
きれいだと口コミで広がり、
給料もよくなって、
姉妹のように育った愛子を誘い、
ふたりで暮らすことになった。