カメムシが職場に侵入し、女性中心にちょっとした騒ぎになった。

 

 

「騒ぎたいのはカメムシのほうだろうに。この子は来たくもないところに迷い込んでしまったのだから。」

 

私はそう考えながら無視して仕事をしていた。

 

 

そうするとカメムシが室内をブンブンと飛び回り、そこでまた「キャーキャー」と騒ぎが起こりで女性たちの顔が引きつる。

 

 

仕方ないので捕まえて外の草むらに逃がしてやった。

 

 

こちらの身に危険が及ぶ状況でない限り、室内に侵入した虫などは殺さないようにして外に逃がしてやるように普段から皆には言い聞かせているが今回もそのようにした。

 

 

「もう外に出たので大丈夫なのでな」

 

私がそう言うと皆は安堵し騒ぎは収まった。

 

 

「殺さないように逃がしてあげたから」

 

そう付け加えるとそれを聞いていた一人が言った。

 

 

「そうですよね、カメムシは潰すと臭くて臭いますからね。。」

 

 

それを聞いた時、私は思った。

 

 

臭いとか臭くないとかの問題ではないのだ。

 

昆虫一匹の命の問題なのだと。。

 

 

しかし私たち人間のほとんどはそのような意識はない。

 

 

自分たちに害になれば殺しても良い。それが当たり前。

 

 

名前も「虫」ではなく自分たち人間にとって都合が悪ければ「害虫」と呼び、ためらわず命を奪い始末する。そしてまったくと言っていいほど罪の意識もない。

 

 

私たち人間はなんと自己中心的で身勝手なのだろうか。

 

 

私たち人間も「害人」として何者かに捻り潰され始末される日が来るのかもしれない。

 

 

 

そんなことを大真面目に考えながらまた今日という一日が終わる。

 

 

 

 

 

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