いいお天気が続いています。うららかな春。明日っからまた寒くなるらしいんですけど。
部署の花見はあさっての予定。って寒いじゃん!! きんぎょです。

今回はリクエストのあったお話を引っ張り出してみました。

今を去ること20年前くらいのことでした。
実家住まいの多い関西では特にお嬢様ってわけじゃなくっても花嫁修業の一環としてお花やお茶のお稽古をすることはまぁ、一般的な風習として残っていたわけですよ。大人としての一般常識?みたいな?

でまぁご多分にもれずわたすもお稽古してたわけです。
うちの母もずっとお稽古を続けているんですがコスト意識の厳しい関西人ですからね。
「身内になろたら、身ぃにつかんからね。自分でお月謝払ってお稽古し」てなもんですよ。

最初のお免状をとったところで、家元での若手短期講習会というやつに参加できる資格ができました。
その講習会が行われるようになったわりと最初の方だったんですよね。

ふーん、京都に一週間か。旅行に行くと思ったら安いもんだよね。
普段見られない家元の茶室とかも入れるし。

「先生、これ申し込んでみてもいいですか?」軽―い気持ちで先生に聞いてみると
「いってきなはれ。やってみなはれ。」とかーるいお返事。

募集要項を熟読すると先生に推薦状を書いてもらわないといけないし、志望動機の作文は書かなきゃいけないし、正座に長時間耐えられるかどうかの診断書を提出しなきゃいけないし。
結構めんどくさいもんでした。
何より1週間の間ずっと着物で過ごさないといけないので、ちゃっと着てちゃちゃちゃっと動けるようにしとかないといけないわけですよ。練習練習。

で、私が参加することになったのは会社が夏休みの間の1週間。
時はまだバブルを引きずっていた頃。
同期の子はハワイやらパリやらにバカンスのなか、着物を詰めたスーツケースをひっこずってマルーン色の電車で京都に向かいます。って家から40分でついちゃったんですけど。

全国からの希望者が集められたのは家元近くの大きなお寺。ここが宿泊場所です。
10人ずつ数部屋に分けられました。各地からやってきた皆さん。
関西は私ともう一人奈良から来た子と地元も地元、京都の子の3人。
(偶然にもこの京都の子の先生は、私のお花の先生のお母さんでした。)

遠くから来た子達は教室の威信を背負ってきたようなものすごいチカラコブ具合。
軽い観光気分で来ちゃった私、浮きまくりですよ。

京都の夏のお寺です。天井は高いけど、暑いったらありません。
そのなかで着物です。ウエストに汗疹できるっちゅーねん!!
朝起きたらまず顔洗って着物に着替えて読経、掃除、それから朝食。
お稽古に行って夕方はお寺に帰って一人10分の入浴時間。冷房なしテレビなし。昭和50年代に購入したころのままの扇風機が各部屋に1台。蚊帳に匍匐前進して入って21時消灯ですよ。
ええ、甘かった。観光気分のわたしゃ甘かった。

楽しみは蚊帳の中でするおしゃべり。当時はまだ携帯もゲームもみんな持ってなかったもんねぇ。

助手でついてる内弟子のHさんはH宗匠の次男さんやでお父さんによぅ似たはる。次男坊なら買いやな。某宗匠がお稽古にいってはるどこやら支部の支部長さんは某宗匠のお手つきやで。ヨメやったらめんどくさそうやから支部長狙いでどう?
・・・ザッツ GE・SE・WA!どこが花嫁修業やねん!

唯一冷房に当たれるのは家元の茶室。
新席と呼ばれる大きな茶室は冷房完備です。ああ、文明の利器ってすばらしい。でもでもでもー!
担当の宗匠は、冷房の噴出し口の前にどっしり座ります。よぅ肥えてはりましたからね。

せんせぇどいてくれへんと風がこっちにけぇへんやないのー!!どいてんかー!

宗匠が立ち上がると涼しい風が。ああ極楽~。
宗匠の助手についている内弟子のお兄さんたちもしっかり風をキープ。ずっこいわぁ。

夏休みが終わり、こんがり焼けた同僚たちの中、美白を保った私のお腹周りは汗疹で真っ赤でした・・・