机の上にラ・フランスがあります。そろそろ食べごろだと思うのですが、いまひとつ自信がありません。きんぎょです。
今回は読んでいる間おなかがすいてくる本をセレクト。

「禁断のパンダ」上下
神戸を舞台にしたミステリー。もともと料理関係の仕事をしていた人が書いた作品ということもあって、料理と味の描写は抜群。ものすっごくおいしそうです。
ただキャラクターの造詣とかは甘いし、ミステリーとして面白いかというともうちょっとだなと思うところもあるのだけれど、この料理の描写は格別。表紙のイラストはかわいいんだけど、ちょっとグロなところもあるので要注意。
日頃ウロウロ歩いているところが舞台なので、情景が目に浮かんじゃうからちょっと甘く☆みっつ。

「ジュリー&ジュリア」
こちらはびっくりするぐらい料理がおいしそうに感じない描写の本。
もともと、1冊の料理本のレシピを1年間で全部作る!と宣言した女性のブログをまとめたものらしいのだけれど、文章もなんだか荒削り。
ただ、「都会に住んでいる普通のアメリカ人の食生活」を垣間見ることができるのが面白いかも。(多分田舎のほうだとまた違ってくると思われます)
魚介を普通に食べる日本人にとっては生きのいいロブスターを調理するのに、こんなに大騒ぎになる理由がわからない!とか、カモを捌くのに日本製の出刃包丁がどんなに頼りになるのかなんて面白かったです。☆二つ半。
「魔法にかけられて」のお姫様エイミー・アダムスとメリル・ストリープ主演で映画になりこの冬公開決定。「ユー・ガットメール」とかを撮ったノーラ・エフロン監督だし映画のほうが面白いかも。料理学校のコルドンブルー主催で、「料理で夢をかなえるブログコンテスト」もタイアップでやってます。料理の腕に自信のある方、どうです?

「すべてを食べつくした男」「やっぱり美味しいものが好き」
大雑把なものを食べていそうなアメリカ人のなかにも美食家ってやつはいたもんで、この2冊の作者ジェフリー・スタインガーデン氏、どれくらいの美食家かというとアメリカ版料理の鉄人「アイアンシェフ」で「おいしゅうございます」の岸朝子さんクラスの審査員をやっていたおじさん。
作者が編み出した国別グルメ指数が「イカ・タコ指数」。イカやタコの消費率が高いほど、その国のグルメ指数は高いというのです。なんとなくわかる気がしません?
アメリカから築地のマグロの価格をチェックしていたり、最高に美味しいエスプレッソを入れるために14台のエスプレッソマシーンを並べてみたり、理想的ミネラルウォーターを作ろうと薬局で純水やマグネシウムやらカルシウムやらを買い込んでみたり。妙にクソ真面目に理屈っぽい「美味しいもの」へのアプローチが、「おもしろうてやがてかなしき」といった風情を漂わせてくれるところがいい感じの☆三つ半。ものすごくおいしい農作物を作る日系人ファミリーになんだか鼻が高くなったりして。

「ドルチェには恋を添えて」
片思いのアメリカ人の女の子にひたすら料理をささげるイタリア人だけどシャイなシェフの物語。料理版シラノ・ド・ベルジュラックでしょうか。かっるーい恋愛小説ですが、もうここに出てくる料理がめちゃめちゃおいしそう!こんな料理を作ってくれる人ならすぐに転びますよ!あっちゅーまに10キロ20キロ太っちゃいそうですけどね。64歳になっても愛してくれる?じゃなくって64キロになっても愛してくれる?って話ですよ。
☆ 三つ半。

「喪失の国日本」
バブル期の日本に赴任したインド人ビジネスマンの日本滞在記。エア・インディアの機内食に牛肉のステーキがあるなんて!とか、こんな水っぽい飲み物が牛乳だなんて!とか、日本式カレーライスの店でインド人だからって辛さ50倍を食べさせられて涙目にされるとか。インド人もビックリの日本滞在記です。これがまた面白かった!途中、日本人には耳の痛い話もありますが☆四つ。