週末ごとに自転車を乗り回してスポーツの秋を満喫しておりますが、文化のかほりもたまには嗅いでいるきんぎょです。
正倉院展もそろそろだっけ?といいつつ向かった奈良は正倉院展の一週間前。でもいいんです。本命は奈良町の激しくつきまくるお餅屋さんの草もち♪ではなく、興福寺の国宝展。教科書でも見たことのある少年の顔をした阿修羅像に会いたかったのです。
この阿修羅君、本当にいい顔なんですよ。見るたびに惚れ惚れします。今回は仲間達も沢山展示されていました。笑っちゃうくらいに国宝だらけだったのですが、私たちの前にいた若いカップルの一言が忘れられません。
「俺達一生分の仏像みたな」「うん」
このあと前に来たときは時間切れで中に入れなかった法隆寺にまわってきました。パリのギメ美術館に出張したこともあるという百済観音がきれい。まるでイブニングドレスを着て立っているようでした。
京都の国立博物館でやっている「狩野永徳展」は並ぶらしいよと聞いて、朝9時に博物館に着くように家を出たら、すでに「一時間半待ちでーす」あらら。でもノープロブレム。今日はちゃんと二人とも本を持って出てきたのでちゃんと時間をつぶせます。
時の権力者に愛されただけあって、金箔も絵の具もふんだんに使えるんだなぁとトンチンカンな感想を持ちつつみてまわりました。目玉は国宝の洛中洛外図で、とっても細かく書き込まれた楽しい屏風だったのですが、この屏風の前に人がたかりすぎて「立ち止まらないでくださーい」と係員が声を掛けどうし。パンダ初来日じゃあるまいし。
わたしはトラの屏風がどこかひょうきんで好きでした。ぎょろめの愉快なヤツです。なぜかディズニーのティガーを思い出させるヤツでした。
そして、この秋一番の文化イベントが「クレーメル&ツィメルマン スーパーデュオリサイタル」です。
はじめていく県立芸術文化センターは創立以来来場者100万人突破記念イベントが賑々しく行われました。生ファンファーレいいですね。芸術監督の佐渡裕氏も見ましたよ。
この段階で、このピアニストとバイオリニストがどれだけすごくって、どれだけみんなが見たがっているのかということをまったくわかっていない我々。電車の中でも「今日見るのって誰だっけ?シュトレーゼマン?」「それはのだめじゃん!」とおバカさんな会話をしていたのです。
二人の演奏が始まると劇場内の空気が変わります。予習CDをもらって聞いていたのですが、やっぱり演奏する人が違うと違いますね。
二人とも緻密な演奏をする人なんでしょうか。すんごいスターが演奏するんだということで、豪華絢爛でキラキラした音が出てくるのかと思っていましたが、聞いている間ワタシの頭の中に広がっていったのはロイヤル・コペンハーゲンのブルーフルーテッドの模様。白と青のピリッと引き締まった色の細い線で描かれる花が次々につむがれていくようでした。
あっという間に2曲が終わって20分の休憩。3曲目にいたってはぜんぜん知らない作曲家の曲で寝てしまうんじゃないかとプログラムをみて心配していましたが、大丈夫でした。となりのナミヘーも劇場内に鳴り響くくしゃみをかますこともなく集中して聞いていたようです。
アンコールの一曲目はプチフールのようにかわいい曲でした。スミレの花の砂糖漬けがのった一口サイズのケーキのように、甘くかわいい弾むような曲。2曲目のアンコールは短く「おやすみなさい」というような曲。
ビールの名前の人、さそってくれてありがとねー!!
ここだけの話、ビールの名前の人の旦那様は苦みばしったいいおとこですよー。