これはまだイギリスに住んでいたころの話です。

携帯が鳴ったので、手に取ったら[INAMOTO]からです。

(ったく、2階から電話してくるなんて、なんて横着な!)と思いながら出ました。


っと、

「Mum」


「はっ?(イナモトじゃない?誰?だれ?who?)」


「Mum?」


「フ、フーズスピーキング!?」


「・・・Chris」


「(!クリス!?イナモトの友だちだ)、オー、ハロー、クリス、バット、アイムノットユアマム。アイム イナモトズマム!」


「Sorry,Mrs Loony, I got the wrong number」


「ザッツオーケー。(事情は分かった、他になにか用あるかな?、困った)

…アム…ウォンチュートークトゥーイナモト?」


「No、thank you, I must call my mum」


「(だよね~じゃあ、切っちゃってもいいんだよね)

アイシー。・・・グッナイ、クリス」


「Good night, Mrs Loony」


まったく、そそかっしんだから!



でも、なんか変・・・

だって、私、INAMOTOからの電話に出たのよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

また、なんかやった?イナモト


2階へ向かって

「イナモトーーーちょっと下りてきなさい!」


「なに?」


「今クリスから電話があって、これこれしかじかで。で、どういうこと?説明しなさい」


「・・・・・・・・・

たぶん、クリスの電話帳のmumの所にお母さんの番号が入っていたんだよ」

「だから、なんでそんなことが起こるの?」

「話を聞いてよ。

僕の古い携帯ね、プリペイド式のやつ。あれをクリスに売ってあげたんだよ。

クリスは自分の携帯失くしちゃって、欲しいっていうから」


「!親に無断で、そんなこと!いくらで?」


「5ポンドだよ。2年落ちだけど、ただじゃ変だから。悪くない取引だよ。お互いhappyだし。5ポンドくらいならいいでしょ?ほら、前にtシャツ、1ポンドで買ったことあるじゃやない、自分で判断してもいいと思って」


「(何がハッピーだ)…じゃあ、電話帳、クリアしないで渡したの?」


「だってね、僕とクリスの電話帳の中身って、かなり重なっているんだよね。

だから、いらない番号だけを消す方が早いと思って。お父さんや日本人の名前は消したけど、Mumは残っていたんだね。クリスもびっくりしたと思うよ」


「電話番号入れたままの携帯を他人に渡すなんてっ!悪用されたらどうするのっ!」


「あくよう?」


「だから、たとえば、そうねえ・・・麻薬の売人がお客を探すとか!」


「ぶはははは。お母さん、考えすぎ。僕もクリスもそんなことしないよ。退学になっちゃうよ。お母さんだって、クリスのことは知っているでしょ?」


「そうだけど…とにかく、あなたは考えなしに行動するから」


「(ムッ!)考えているよ。そんなに心配しないでよ」






「・・・お母さんの番号って、Mumで登録してるの?」


「そうだよ。oka-sanより簡単でしょ?」


「みんな名前じゃ入れないもんなの?」


「たぶんそうじゃないかな。2人以上いてややこしい場合じゃなければ」


「・・・そう」


「あ、そうだ。お母さんも電話帳の僕の番号、新しいのに書き換えてよ。

でないと、僕にかけようとしてクリスにかかっちゃうよ」


「え、そんなことないわよ。新しいの入れたもの」


私の携帯の電話帳には、INAMOTO(古い携帯の番号)と、INAMOTO MOBILE(新しい携帯の番号)の両方が載っていました。