「みく、行くよ。」

(はぁい)

大曲の夏は短い、

まだ8月だというのに、夜には厚手の長袖が必要だ。

みくとふたりだけでこの夏の花火を見るために昼間からいい場所を探しにきた。
来年は、3人になってしまうから

日本でも最大級の有名な花火大会。子供を連れて来てみたいと、ずっと思ってた最高の花火。

おなかの美玲にもきっと聞こえるはず。

(ママ、美玲ちゃん生まれたら、おばあちゃんのとこに行くでしょ?)

「…そうだね。生まれそうになったら行こうかな。」

(やった!ねぇママ、
美玲ちゃん、みくに似てるかな?)

「きっと、そっくりだよ。」

(そうだといいな)

あまり歩きすぎるのは良くないので、
一番のポイントより少し手前の
たんぼのあぜみちに腰かけた。

みくはたまに、
美玲ちゃんのパパは、みくのパパとは違うんでしょ?と聞いてくる。

私はその答えをいつもはぐらかした。

はじめは産まないつもりでいた。
産んだら、いつかきっと迷惑がかかる日が来る。

それをみくが、

(ママ、みくのきょうだい取らないで。
みく、妹がほしいの。美玲ちゃんだって生まれたがってるよ。)

そう言って、止めたのだった。