●共同戦線は張らない

 

 

世の中には多くの共同事業なるものが存在しており、現代の利益追求型ビジネスにおいては、ごく当たり前のようにM&A(企業の合併・買収)が行われております。何しろ自社の事業規模の拡大、売上・利益の追求、そしてオンリーワン的思想は消え、ナンバーワンになるべく、そこには倫理観や情といったものは微塵もなく、全てが数の論理に従って動いているのです。

本書でいうところの「副業」は、自己の価値観に基づくキャリアの追求です。その方法論としての副業なわけですから、できればオンリーワン的な発想を持ち、結果的に成功を収めある程度の富を得ることができたとしても、決してナンバーワン的、数の論理的思考にはなってほしくないという、願を抱きつつ筆を進めておりますが・・


 

ここで筆者のちょっとした失敗についてお話をしてみたいと思います。
 

先に、筆者がキャリアカウンセラーに辿り着いた経緯はお話ししましたが、実は失業中に少しだけ手を出したことがあるのです。自分でパソコンレスキューなどしたことも、既に書きましたが時期を同じくして、実はネットで知り得た方3名と一緒に、ソフト開発のビジネスをすることになったのです。
そこでの筆者の担当は経理と総務です。これについても全職での経験をフルに生かす決意をして取り組んだのです。この段階においては、本書でいう副業という意味合いではなく、完全なる独立・起業の意味を含んでいました。当時、有限会社の最低資本金は300万でしたので、それを4人で出資し合い、銀行に口座を開設し、そして会社登記をしてビジネスをスタートさせたのです。

ここまではいわゆる「カタチ」ができたレベルでしたが、登記も済ませ、会社の印鑑もできてきた段階で、気持がとても高揚したのを覚えています。
 

ところが、この参画は失敗に終わることになります。

というのは、スタート時点でのお互いの認識不足だったということです。これは、ビジネスとしての概要ということではなく、そのビジネスを通してその先に何を求めるのか、求めているのか、ということだったのです。
 

ビジネスとしては成功しても、その後当初の創業メンバーが分かれていく、といったことは、皆さんの良く知っている企業においてもよく聞かれることだと思いますし、創業メンバーが長年残っている企業は、むしろ少ないのだろうと思います。何故でしょうか?

業績の悪化などが原因で結果離れたというのであれば、致し方ないことですが、それ以外の理由とすれば、各々の考え方や目指すものが時間とともに変化してきた、あるいは当初からその部分については違っていたということになると思います。ある程度の実績や基盤を作ることができると、次には自分の目指す方向に進みたくなるのでしょう。
 

筆者らの場合はそこまでの実績ができたわけではありませんが、スタートした直後あたりから、メンバーそれぞれの話や、会話を聞いていて、とても違和感を感じ始め、結論に達した要因として言えるのは、ビジネスの先行きは別として、それまでの生きてきた世界が違っていたために、その仕事観なるものに馴染むことができなかった、ということです。
今分析すれば、共同で行う中でそのイニシヤチブを誰が取るのか、といったこともきっと大きかったのだろうと思いますし、メンバー3人は互いに知人、対して筆者は単独の3対1という構成も、それに大きく起因したのだろうと思います。
 

そこを、話の段階において確認できなかったし、また何かやろうと半ば浮かれているような状態では、知る由もなかったということです。

では、それまでの仕事をしてきた環境や、世界が同じだったとしたら長続きしたのか?

それはなんとも分かりません、可能性は両方存在するでしょう。

単純な筆者の経験談ではありますが、そこから得た教訓としては、他人と組む場合にはとことんビジネスについての考え方や、方向性、個人的な将来の夢などを語り合うことだろうと思います。

もし、その段階において、自分とは違うと感じれば手を出さなければ済む話ですから。
 

そしてもう一つ、というよりもこちらが当然なことと感じますが、仮にもビジネスをやろう(起業にしても副業にしても)と考え実行しようとする人なのですから、その先には何かしら自分の中に大きなものを抱えているということです。勿論考えにしても人には負けないものを持っているはずですから、そうは簡単に人の考えに流されるということは無いのです。

ビジネスを成功させたいという、それは共通の意識かもしれませんが、個人の考え方や目指す方向性については、むしろ全く別物であると認識しておくことが、失敗の回避策の一つであろうと思います。
 

誰かと手を組もうとお考えの方は、是非先に述べたようなことを確認しながら取り組んでください。

できることなら、自分一人で実践することをお勧めいたします。

 

つづく