●投資リスクを考える
・費用対効果のハードル
第5章の「副業は専門分野の発掘方法である」では、資格について、その種類の多さを特に書いてみました。この中から自分に合ったものを見つけるのは容易なことではない、ということで。
しかしながら、その資格の取得にかかる費用に関しては触れていませんでしたので、ここで少し触れておきたいと思います。
今国内では1000種類以上の資格があると述べました。一般的に資格を得るためにはそれなりの勉強をしなくてはならない、のは当たり前のことなのですが、その勉強にかかる費用はいったいいくら掛かるのか?
資格によっては、テキストや問題集を購入し、独学でゲットできるものから、受験資格を得るために、先ずはその主催(認定)機関の講座を受けなくてはならない、といった半拘束タイプのものまであります。さらには、専門の学校に通い、みっちりと時間をかけて挑まないと無理な難関ものまで、その内容と形態は多種多様です。
後章の、「職種別ケース」の中でも少し書いておりますが、私が取得したキャリアカウンセラー(CDA)においては、認定講座を開催している学校での受講(通信・通学合わせて)が、約半年間で、かかる費用が30万弱です。卒業後は、本試験対策の講座があったりしますから、受講すれば都度1~2万程度の費用がかかります。そして本試験の受験料が1次試験で1万5千円(税抜き)、2次試験が2万円(税抜き)です。合格して協会への登録料が数千円かかりますので、ここまでの合計として、35万円ぐらいかかるということになります。
晴れて、有資格者として活動をしようとした時に、その収入がどれほど見込め、そして投じたこの費用を回収するまでに、どのくらいかかるのか、この費用対効果・投資リスクは、業として行う際には必ず頭に入れておく必要があります。目的や価値観によっては、この部分を必ず考えなくてはならないわけでもありませんが。
今、特に資格を取ることが、注目されている節もあり、それに対応する教育機関や各種団体の数もとても多くなっているように思います。
メンタル系で今話題になっております、NLP(日本語では、神経言語プログラミングと訳されています)というものがあります。
いわゆる心理学の範疇のものですが、この認定機関(団体)も割と多く、そしてこの資格にも段階がありまして、単純にプティショナーコースと、マスタープラクティショナーコースに分かれているようです。それぞれ概算で、30~40万円ぐらい掛かるようですので、二つ合わせると単純に60~80万円ぐらいかかるということになります。更にアメリカに渡ってのライセンスを取得には100万位以上は軽くオーバーするケースもあるようです。
心理カウンセラー講座なども、やはり40~100万円かかるような、各団体(学校)の仕組みになっているようです。
決して安くはない費用が、こういった資格の取得にはかかってしまうのです。
もっとも、どんな資格にしても、高い・安いはあると思いますが、資格での錯覚で一番多いと思われるのが、手段と目的の混同です。
何か一つでも資格がないと、この世の中通用しない。だから資格を取ろう。学校へ通う、テキストや教材を購入する。それなりの時間をかけて勉強をし、見事試験合格。ライセンスを手にすることができました。この時点で、資格を取るという目的は達成されます。
しかし、この目的は、世の中に通用しない自分から脱却するための、一つのツールに過ぎないのでしたね。さて、この目的を達成した今、世の中に通用する自分が生まれたのでしょうか?
当初の手段として見ていたものが、ある時から目的と化してしまわないように、その資格の取得が現実的なものなのか、自分の本質にしっかりと一致しているものなのか、高いお金を払う前に、今一度深呼吸をして、自分の周囲をぐるっと見回してみることをお勧めいたします。
つづく