つげ義春が描く漫画『隣の女』を読んだ。


大平荘に下宿する貧乏な漫画家・津部の目を通して、その隣に越してきた女性・ミヨちゃん、

ヤミ米の仲買人であるオヤジさんなど、下町でたくましく生きる庶民の姿を描いた作品。

作者であるつげ義春の実体験を元に創作されたマンガ。


登場人物・キャラクター

津部 (つげ義春本人)
主人公 大平荘に下宿する漫画家。貧乏で、家主であるオヤジさんのヤミ米の買い出しの

助手をつとめる。離婚して隣に越してきたミヨちゃんと関係を持つ。
ミヨちゃん
タクシー運転手と結婚するが1か月で離婚し、津部の隣のアパートに引っ越してくる。

津部やオヤジさんと肉体関係を持つ。
オヤジさん
津部が下宿する大平荘の家主。鉢巻、腹巻姿で快活な男性。ヤミ米の仲買人でもあり、

津部を助手にして三日おきにトラックで買い出しに出かける。
オヤジさんの妻
和服が似合う物静かな女性。夫とミヨちゃんの関係に目をつぶっていたが、

オヤジさんが警察に捕まったことを契機に、ミヨちゃんに手切れ金を渡すよう、

津部に頼む。


大平荘
『隣りの女』に登場するアパート。東京の下町(大平とは、墨田区大平、押上駅の

スカイツリーと錦糸町駅の中間にある地域)にあり、主人公である漫画家・津部が

下宿している。


バイトのつもりで、闇米運搬の手伝いをする。隣のアパートの出戻りの女と関係ができるが、

闇米の親方にうばわれて、女は親方の2号になる。ところが親方は警察にパクられ、

女は麻袋加工所の男と再婚。主人公は、いまバイトで、その作業場ではたらいている。

“アンポ?なんです、それ”というセリフがあるから、高度経済成長期以前の、貧しかった

時代の生活が回想されている。

出戻りのミヨちゃんが、セックスのためなら相手かまわずの尻軽なのに、かわいい女に

描かれている。

つげのマンガに出てくる女性は、清純というか、素朴な女性と世間知に長けた女の2種が

出てくる。

九州の博多に自分のファンがいる看護婦に逢いに行く「貧乏旅行記」には、美人でおしゃべり

な女。でも関係を結び、手紙が来ても再会はしなかった、、。

借金の方でドサ周りのストリップ劇場に身売りされた女性は、素朴な人に描かれている。

さて、つげさんの実生活の妻はどうだたんだろう。

金もない、豊かな生活など期待もしていない。でも現代のぎすぎすした金満主義の社会

とは違う。何が違うんだろう????