Introduction of Castelnuovo-Tedesco Ⅹ


金澤攝
    天野秀延   

          天野秀延 氏

                                                                                                

                                                          金澤攝 氏


               不快から共感へ

金澤(中村)攝と天野秀延のご両人をご存知であろうか?

「カステルヌーヴォ=テデスコ : 3つの田舎の詩 、Erba verde」のネット記述(ピナ)に、「中村攝何某」はこんなことを書いているとあった。目

テデスコのピアノ作品は初期の作品が多く、新鮮な感動を与えるものが多い。作品は古典主義ともロマン主義とも言えない、煌めくような、自然の姿を描写したピアノ作品が殆どである。この曲集の「緑の草」もそうである。惜しい事に比較的良く演奏されるテデスコの、ギター曲や、ヴァイオリン協奏曲は、彼の独自的な色彩が剥げ落ちた観を拭い去れないのは、アメリカ渡航と、その妥協的商業主義的傾向のためだ。                        さらに追い討ちをかけて云う。

イタリアの作曲家としての自覚を失い、かつての品位は損なわれ書いているではないか。メラメラ


       「テデスコ好き」の魂は萌え~るのだった

作曲家・金澤摂の著作『失われた音楽-秘曲の封印を解く-』(亀鳴屋)をネットで購入してしまった。

作曲家でピアノ演奏家の彼は、歴史の流れが取りこぼした無名の優れた作曲家や作品を発掘し、それらの曲を紹介する活動に力を注いでいてること。中学を出てすぐにパリに遊学して楽譜商や図書館に埋もれた楽譜を「発掘」し、同時代の優れた作曲家の作品の調査にも尽力していてることなどがわかった。その音楽見聞の広さと見識・情熱には脱帽してしまった。

 しかしながら、テデスコ本人は映画音楽などの商業音楽と純粋音楽とは別のものであると考えていたとの記述もあり、彼のその言説はあたらないと主張したい。バイオリン協奏曲・歌曲など書いているので違った評価をすべきであろう。

                  そのうちにVn協奏曲を取り上げよう!!

この著作を入手した動機は、彼の音楽観からのテデスコ評価の真意を見るためであったが、その中に天野秀延氏との出逢いが綴られてあったことがそれ以上の収穫。イタリア音楽関連の蒐集家の天野氏との交流が記されていた。

体力の落ちた天野氏から訪問の許可がなかなか出なかったことから、金沢市から思いあまって突然の訪問となった。その1ヶ月には再度、葬儀への参列することになったという。

それを読みながら、自分も同様な行動をしていたことを思い出した。31年前前後に2度ほど、実家に帰省した折に2回ほど邸宅のそばまで行ったものの訪問までにはいたらなかった。今思えば残念であった。その天野氏の蔵書は福島の短大?に寄贈されたとの新聞記事を読んだ記憶がある。このブログを始めてその資料の閲覧に行きたいところではあるが、その所在は不明である。


    天野秀延(1905~1982)氏について

現代イタリア音楽の研究家(今となっては近代)であり、代表著書に「現代イタリア音楽」がある。この著書が芸術評論の部で1960年度第11回芸術選奨に選ばれた。出身である福島県小高町の町民歌や浜通り地方の学校校歌の作曲、相馬地方の小中学校の音楽指導も行っていた。合奏指導を受けた学校は、県内一位、東北大会最優秀賞など優秀な成績を収める。福島県小高町桃内の村長を勤めていた。傍らイタリア音楽を研究していた方である。

母校の原町高校の校歌を作曲したのが天野氏だったかと記憶している。

2*年程前に「現代イタリア音楽」(音楽之友社刊1960年)を購入した。時を措かないで神田にある古賀書店に、軒先に放置状態のワゴンセールに「現代伊太利亜音楽」(1939年)があり、たったの300円で持ち帰る。戦前の古ぼけた本など誰も見向きもしないとの営業判断であったのだろう。超お買い得!


            @  蛇  足 @

この古賀書店は音楽関係の古書専門店。その10年後、そのお礼にマーラー関係の書籍を10数冊売ってきた。本好きという人種は困ったものでその代金+αで、今思えばどうでもいい本(書名不明)を2冊程度持ち帰るのだった。

これって、金利と手数料・営業管理費を加味しても等価交換かしら?

冷静に思うと、27・8年前に音楽関係の情報は内外の音楽辞典に相当あったはず、同氏の友社版もあるのでよっぽど物好きでないと売れないと判断したのだろう!! 音楽関係の古・書籍では老舗ですよ。

古書書店の在庫検索には、旧版は1,500円、芸術選奨の音楽友版は8,000円前後の売値が付いていた。