僕はよく、
「後でやるよ。」
と言っていました。
昼ごはんを食べたあと、
シンクに食器が残っていても、
「後で俺が洗うから、置いといて。」
と言って、
ソファでスマホを見ていました。
僕としては、
やらないと言っているわけじゃありません。
少し休んでからやる。
それだけでした。
でも妻は、
結局、自分で洗っていました。
「俺やるって言ったじゃん。」
そう言うと、
「いいよ。」
とだけ言って、
そのまま洗い続けていました。
当時の僕は、
せっかちな人なんだと思っていました。
そんなにすぐやらなくてもいいのに。
休んでからやればいいじゃん。
そう思っていました。
でも、
食器を洗い終わると、
妻は冷蔵庫を開けていました。
野菜を出して、
肉を小分けにして、
平日の夕飯の準備を始める。
途中で洗濯機が鳴ると、
今度は洗濯物を干す。
子どもが呼べば、
そっちへ行く。
「ちょっと休めば?」
と言ったこともあります。
妻は、
「大丈夫。」
と言いました。
そして、
また何かを始めました。
子どもが寝たあとも、
キッチンに立っている日がありました。
明日の準備をして、
水筒を洗って、
保育園のものを揃えて。
僕なら、
「明日でいいか。」
と思うようなことも、
妻はその日のうちに終わらせていました。
あの頃は、
そういう性格なんだと思っていました。
きっちりしている人。
気になると、
すぐやりたい人。
でも今でも、
よく覚えています。
「今日はもういいんじゃない?」
と言ったときも、
妻は、
「これだけやっちゃう。」
と言っていました。
そして、
その「これだけ」が終わると、
また次の何かをやっていました。
今でも、僕はどうすれば良かったんだろう。
そう考えてしまう夜があります。
でも、僕と妻の関係が壊れてしまった原因は、
家事育児の分担ではなかったんです。
僕もずっと気づかなかった、
妻が、抱えていたものがありました。