「なんや、これは」。9月18日朝。神戸市中央区の「いくたロード」沿いで商店を営む男性(62)は、店のシャッターを見て言葉を失った。
黒い油性スプレーで書かれた巨大なアルファベット。脇には三角の意味不明なマークが書かれていた。油性のためこすっても消えず、結局シャッターごと取り換えた。「書いた本人は芸術家気取りかもしれないが、店にとっては迷惑以外の何物でもない」と怒りをあらわにする。
市の調査によると、被害の約6割は中央区に集中。また、落書きの約8割は、路上の分電盤や電柱などの公共設備で見つかった。ほとんどがアルファベットを組み合わせた記号のような落書きで、縄張りを示す刻印の「タギング」と呼ばれるものだった。
文化財が多い奈良県や岡山県ではこうした落書きに対し、独自の条例で罰則規定を設けているが、神戸市は「今のところ検討していない」(担当者)。業を煮やした「三宮中央通り」の商店主らは落書きされる前に、外壁やシャッターに壁画を施す「まちかど壁画プロジェクト」を計画、町の美化に乗り出した。
繁華街を管内に抱える生田署は、特に警戒を強めている。今月17日未明には、路上の照明用分電盤に落書きしていた西宮市のアルバイトの男(26)を発見し、器物損壊容疑で現行犯逮捕した。男は調べに対し「これまでに何件もやった。書いて何が悪いのか」と開き直ったという。同署は男の余罪を追及するとともに、現場から逃走した男3人の行方も追っている。同署は「不審な人物を見たらすぐ110番してほしい」と呼び掛けている。