邦題:君と僕の5分

韓題:너와 나의  5분

 

(やネタばれあり)

 

 

 

 

 

かつて、こんな韓国映画があっただろうか。

エンディングに、日本の曲が流れるような映画が。

 

舞台は2001年の韓国の地方都市。
最初の映像だけで、当時韓国にいた自分は泣きそうになる。
日本文化は数年前に解放されたけど、地上波のTVでは「韓国人の心情を配慮して」けっして流されない。まだ日本の音楽を大っぴらには聞けない。

日本の音楽を聞くだけで「愛国心がない」「チョッパリ」と言われる時代。

ちなみに映画の最初に不適切な言葉がある、とあったので、何だと思ったら「チョッパリ」だった。字幕では「日本人」だから韓国語がわからないと全く伝わっていない。

そんな時代に日本音楽を密かに楽しむ2人の男子高校生。
ここにもう1つ、当時のタブーが出てくる。

同性愛である。

ハリスやホン・ソクチョンもなつかしい。当時はそれだけ大ニュースだった。

でも先生は同性愛を罵倒する。

同級生は気持ち悪がる。

韓国ではよく男同士で膝枕したり、一緒に布団で寝たりする。
それは「同性愛はありえない」が前提とした男同士のつきあいだった。

それほど当時の同性愛へのタブー、というか嫌悪感はきつかった。
主人公の彼は同性愛者として過去にいじめらたこともある。

クラスでも誤解されて彼が同性愛者である噂がたってしまう。

でも彼は大人しく否定しない。だからいじめられる。

日本の音楽を愛する友人もふだんから彼の髪の毛をさわってきたり、肩に寄りかかってきたりする。

しかし主人公が過去を告白すると嫌悪感をみせて離れていく。

でも友人はそれからだんだんおかしくなっていく。
その友人はGlobeの「FACE PLACES」が好きだという。
映画ではあまりその曲は流れなかった。
けれど、その曲を聞くと、彼の気持ちが何となくわかる。

彼も心の中で叫んでいる気がするのだ。
映画のあとにその曲を聞くと胸がせつなくなってしまう。
主人公はGlobeの「Departure」が好きだった。
韓国映画でこの曲がエンディングで流れる。
こんな韓国映画はいままでなかっただろう。

5分とは、この曲が流れる時間だった。

2026年の大阪の映画館に、まさかglobeの曲が何度も流れていく。

25年前の韓国からは信じられない。

 

ちなみに2001年の映画といえば「猟奇的な彼女」。

この映画のあるシーンが、何度もでてくる。

彼はなぜこの映画を何度も見に行ったのだろう。

 

 

教育的にはろくでもない母ではあったが、たまにはためになったこともある。

それは小学校4年生の夏休みの最後あたりの日であった。

母が1冊の本を買ってきたのである。

それは子供向きではない、初めての「大人」の本だった。

「船乗りクプクプの冒険」。

買ってきたのはたぶん母の気まぐれである。

しかしこの小説、子供向けではないとはいえ、だいぶぶっ飛んでいる。

作品に作者が登場人物として出てくるというのにも驚いた。

しかしそれ以来、北杜夫のファンになり、大人の本、いわゆる小説を読み出すきっかけとなった。

そして彼の旧制高校時代のエッセイはくり返し読んだ。

おかげで家元を離れて寮、といっても宿舎生活をするはめになった。

お母さん、地元の大学にいかなかったのは、あなたのせいです。

 

朝ドラの「あんぱん」にも脚本家が自身が子どもとして主人公にあうシーンがあった。

それがだいぶ批判されているという。

しかしそれこそ「原作者」の特権だろう。

実際、脚本家か、あるいは脚本家の母がモデルになった主人公に手紙を送ったことがあったらしい。

そんなエピソードがあって、主人公のドラマの原作を書く。

そんな機会があれば、自分を登場させるのは当然ではないか。

創作者の夢である。

私ももし同じ立場なら、作品の中で必ず北杜夫に会いにっているだろう。

それを批判するならば、自分が原作者になってみればいい。

私もドラマでそのシーンをみたが違和感はなかったし、実際だいぶ創作は入っているだろう。

だからこそ原作者の思いが伝わってよかった。

 

ちなみに朝ドラの「あんぱん」は9月から見はじめた。

前半いろいろあったようだが、登場人物やエピソードが出てきて色々想像している。

 

韓国での8月15日は、祝日である。光復節。クァンボッチョル。

「独立」という光が戻ってきた日。特別なお休みである。

20年前になるが、ソウル市庁舎の外壁が韓国の国旗で埋め尽くされたときは、びっくりした。

もし都庁が日本のナショナルデーに、日章旗で覆われていたら、おどろくだろう。

 

かつて、この日は「日本人は大声で日本語を話してはいけない」と言われた。

しかし韓流ブームで日本人がたくさんやってくると、8月15日に関係なく韓国で日本語を大声で話すようになった。

それで特に大きな問題はなかった。

韓国人の意識が変わったのか、そもそも杞憂だったのだろうか。

一番驚いたのは数年前のこと。

有名なタプコル公園近くの映画館で、8月15日に日本映画が上映されていたことである。

たしか「ウォーターボーイズ」だったと思う。

日本映画が少しブームだったこともあるが、それだけもう気にしなくなっていた。

 

それでもやっぱり自分は身構えてしまう。

ソウルで大声の日本語を聞くと、はらはらする。

今年のソウルの光復節は、どうだろうか。

3連休だし、日本に旅行している人も多いかも。

光復節に日本旅行することについて、韓国の某サイトのアンケートでは、回答のうち「不適切」が約29%、「気にしないが、社会的には敏感」が約29%、「個人的な自由で問題がない」が約19%、「他の旅行先を考えなければならない」が約13%。「考えたことがない」が約9%。気にしない人が思ったよりも多かったが、気にしている人も多い(建前的な回答も韓国ではよくあるけれど)。この期間の日本旅行をSNSにあげることは、まだ神経を使うかもしれない。ちなみに同じアンケートで光復節に「日本旅行」を考えている人は約10%だった。自分から見て、だいぶ増えている感じである。

 

 

 

北朝鮮の兵士が、走って38度線を超えて、韓国に亡命する。

もちろん、普通に走れるわけがない。噂では地雷でいっぱいらしい。

でも実際に走って逃げた人がいた。

その人の話をモデルにした韓国映画。

登場人物のキャラクターは別にして、北朝鮮の軍隊の話はかなりリアルである。

脱走のきっかけが「韓国のラジオ」というのがいい。

ラジオの電波は軽々と38度線を超える。

そして受信機があればラジオは聞こえてしまう。

しかも同じ韓国語である。

内容も政治的なプロパガンダではない。庶民の悩み話である。

そんな話を北の兵士がこそっと警備の間に聞いている。と思っただけで泣けてくる。

さらに音楽。

この音楽はずるい。

ジオンTの「ヤンファテギョ(楊花大橋)」。

ヤンファテギョ!漢江にかかる橋である。ソウルでも西の方。

ほんとうは映画のタイトルにしてほしいくらい、いい。

この曲を聞いて、彼は脱北をほんとうに決意したのか。

ほんとうにあんな上司がいたのか。放浪する集団がいたのか。わからない。

そして無事脱走できたのか。

あこがれの「ヤンファテギョ」にいけたのか。

 

面白いのは映画の上映後に特別映像で日本人の観客向けに登場人物2人がでてきて挨拶したことである。

舞台挨拶ともちょっと違うが、いいなと思った。

こんなこともなかなかない。

 

 

 

オリジナルは台湾映画。

日本でもリメイクされている。

韓国での原題は「その時節、わたしたちがすきだった少女。」

邦題では「少女(ソニョ)」が主人公の名前「ソナ」になった、

韓国版の舞台は2002年の春川。

ちょうどワールドカップが終わったあとから始まる。

この2002年というのが泣かせる。
あのとき韓国にいた自分には雰囲気がわかる。
アイフォンじゃないケータイの頃。当時の音楽。一気に頭によみがえる。
筋はリメイクだからだいたい知っていたが、リメイクを感じさせないぐらい、違和感がない。

韓服を着るシーンもさり気なく入れている。
やっぱり高校の時に好きだった人というのは永遠のテーマなのか。
みているうちにおもだした。男子校ルサンチマン。

自分は男子校だからそんな話はまったくなかった。

かといって好きな男の子もいなかった。

だからリメイクされるたびにくやしくなる。

なつかしい、はない。くやしい。
リメイクだけどエンディングを変えたりして。と思っていたが、大丈夫だった。

原作者は、何度も自分の思いがリメイクされて、たまらないだろう。

TWICE のダヒョンはすましているとちょっと大人っぽく見える。

でもさまざまな表情は高校生や大学生らしくて良かった。

 

映画のグッズもよかった。

大学入試の受験票らしいネームプレート。

まるで彼女の受験票を手に入れて落書きしたようなスタイル。

 

 

第2外国語は日本語。そのシーンはなかったけれど。

住民登録番号で誕生日がわかる。