俳優ソガンジュン(22、本名イスンファン)は成長痛を患った。
今月頭に放送を終えたtvNドラマ『チーズインザトラップ』のため、一部から本意ではない反感を買った。
中盤に差し掛かるにつれ、男性主人公であるパクへジン(ユジョン)の出番が減り、相対的にソガンジュン(ペクイノ)の姿が目に付いた。これはソガンジュンのせいではないにも関わらず、余計な誤解を招き、聞きたくもない批難にさらされることとなった。誰もが通り過ぎる成長痛程度のものと思うには、相当に悔しい部分だ。他の俳優たちも同様に行うインタビューさえも、ソガンジュンだけ飛び抜けて行っているかのような一方的な見方もあった。
それにも関わらず、ソガンジュンは明るかった。論争を気にしていないわけではない。「原作を愛しているファンなら当然気分を害したでしょう。どういう気持ちなのかは理解できます。僕でもドラマを待ち望む気持ちが残念で悔しい、あるいは腹立たしくなったりするかもしれませんから」と一生懸命笑ってみせた。
色白の肌にくっきりとした目鼻立ち、吸い込まれそうに深い褐色の瞳。かつて男性俳優たちの前に多く添えられた修飾語「イケメン」が消え、「癒し系」「個性派」などの修飾語がその穴を埋めたが、ソガンジュンは最近再び「イケメン」のタイトルを復活させている。カメラが実物を全て収めきれないのが残念なほど立体的な顔立ちを誇る。
ソガンジュンはユスンホ・パクボゴムらと共に「93ライン」と呼ばれる。最近3人の活躍が目立ち、20代の男性俳優の希望として地位を確立した。「競争意識を感じるには僕よりも先輩たちなので。僕はそんな修飾語がつくだけで光栄です。そのうち機会があれば彼らと一つの作品で出会えたら嬉しいです」
デビュー以来、最も忙しい時間を過ごしているソガンジュンが酔っ払いトークの席についた。この日彼は見た目とは違いよく食べる姿を見せつけた。「あまり太らない体質」だというソガンジュンは血気盛んな年齢らしく食べ物の上で箸を忙しく動かした。見た目から体質まで、まさに「芸能人」の血が流れていた。この5か月の出来事を盃を傾けながらもう一度思い出してもらった。
―酔っ払いトークの公式質問です。酒量はどのくらいですか。
「焼酎2本から2本半くらい飲みます。好きな方ではなくて、進んで飲むわけではないですね」
―それでも結構飲む方ですね。
「あぁ…その程度だとよく飲むと言えるんですかね。他の人は僕の年頃だと5本以上は飲まなくてはいけないと言っていましたが(笑)」
―特別な酒癖はありますか。
「特に特別な酒癖はないのですが、酔うと寝ます。寝ると周りの人たちが僕の面倒を見なくてはいけなくて大変です。酒を飲んでくだをまくのは嫌です。いつだったか一度友人たちと酒を飲んでいて酔った友人がくだをまいているのを見たのですが、あんまりいいものではなかったですね。ああならないようにしないとと思いました」
―しょっちゅう飲むわけではないそうですね。
「はい、好きな方ではないです。そういう場があるときは飲みますが、そうでなければわざわざ酒は飲まないです」
「正直、一般的な状況では肌で感じられはしないのですが、ファンが集まる野外イベントをするとすごく感じます。“あぁ僕はペクイノとして本当にたくさん愛されたんだな”と。僕を見にこんなに多くの方たちが来てくださるのだから、もっと一生懸命やらないとと決意も新たになります」
―『チイント』が終わって3週間ほど経ちました。どんな気分ですか。
「ペクイノというキャラクターから離れなくてはいけなくて残念です。僕には似合わないと思っていた配役だったのですが、いつの間にかペクイノになっていたのに再び見送らなくてはいけないと思うと寂しいです」
―単刀直入に伺います。本当にイユジョン監督の偏愛はありましたか。
「偏愛などは全くなかったです。監督は俳優みんなのことを好きでしたし、平等に接してくれました。誰か一人のことを好きだとか、そういうことはなかったです。どうして僕だけを好きだなんてことがあるでしょうか。本当に誤解です」
―イユジョン監督が「オッパ」と呼んでいたそうですが。
「それについても言い分があります。現場にいたすべての人たちが僕を“オッパ”と呼んでいました。監督だけでなく女性スタッフに男性たちも。劇中でホンソルが僕に向かって“イノオッパ”と呼ぶシーンがあるのですが、それからはすべてのスタッフが僕を“イノオッパ”と呼んでいたんです」
―誤解が多いですね。悔しい部分もあったかと思いますが。
「“オッパ”という呼び名や“偏愛”などは本当に間違った噂です。おそらく僕でなくても現場にいたすべての人たちが分かっています。その他の部分については受け入れなくてはいけないでしょう。そのすべてが視聴者たちの意見じゃないですか。僕が喜ぶ言葉ばかりではないですから」
―現場の雰囲気は和気あいあいとしていましたか。
「本当によかったです。どの現場の同じような感じでしょうが、笑いが絶えませんでした。近い年代の俳優たちが多かったので、なおさらそうでした。他の人たちに聞いても和気あいあいとした雰囲気だったと答えると思いますよ」
―中盤以降、出番が多くなりましたよね。
「出番の割合は僕にもどうすることはできないじゃないですか。だからといって監督と作家さんだけで出した結論でもありませんし。台本を個人的な感情で作るなんてできませんよね。僕の出番だけ極端に増やすなんてできませんよ」
―正直、出番が多いのはいいことじゃないですか。
「もちろんいいです。でも劇の流れと滑らかにつながらないといけません。放送が半分ほど進んだ頃に全体の撮影が終わりました。その頃は僕の出番は多くはなかったんです。ですが、撮影が終わってみると急に出番が目立って増えたんです」
「もちろん見ましたよ。原作がある作品を原作を見ずに撮影するのは辛いでしょう。でもまた僕が原作を見たか見ていないかという話も多かったです。時期が微妙だったのだと思います。撮影前のグラビア撮影のときにはまだ見ていないと話したのですが、その後原作を見たんです。ですから撮影前には原作は見ていました」
―実際の性格はどうですか。
「ペクイノと正反対です。気が小さくて内向的です。高校の時までを考えても人とうまく話せないくらいでしたから。演技への夢を持って仕事を始めてから変わり始めました。天然な面も確かにありますが、他の面がより多いです」
―演技をするというのは簡単ではなさそうですね。
「演技は演技に過ぎませんが、正反対の性格を演じるというのは確かにプレッシャーです。でも本当に不思議なのは、ペクイノを演じているうちに僕もいつの間にかペクイノのように変わったんです」
―自分でも感じられるんですか。
「サプライズのメンバーと一緒にいるときもペクイノのようにずけずけと話したりしていたんですよ。本当にびっくりしました。それくらいキャラクターととても親しくなったということでしょう。今まで演じたキャラクターの中でも特にペクイノに愛着があります」
―恋愛に対しても似てきましたか。
「それは元々の自分の性格に近かったです。ペクイノがホンソルに近づいていく姿を見て感じました。好きだという気持ちに変わっても、告白はしましたが自分を受け入れてくれと要求はしなかったじゃないですか。僕も誰かを好きになっても自分のものにしようとする性格ではないので」
―『チイント』論争を振り返って心境はいかがですか。
「原作のファンの方たちが大変残念がったようです。期待していた内容と異なった部分にがっかりしたのでしょう。原作のファンとしては残念な部分が多かったというのは十分理解できます。論争が起きたのが作品が終わる前でしたから。終わるまでは温かい目で見てくれることを祈りました」
―アドリブが多かったそうですが。
「俳優たちが十分に表現できるようにしてくれました。僕だけでなく全員に共通して言えたことです」
―それはすべて反映されたのですか。
「作品の方向性と脈絡に反しない範囲では認めてくださいました。“飯食った”“飯食べた”のように意味が同じであれば必ずしも台本どおり読まなくてもよかったです。なので実際に台本と比較してみると少しずつ違う表現であったり、アドリブを加えた部分があります」
―この部分についてもソガンジュンさん一人だけがそうであったように伝わっています。
「そうなんですよ。僕だけそうだったのではなく全員がそうだったのに、まるで僕だけが自分勝手な人間のようになっているんです。仕方ないですね」
―撮影中大変だった点はありますか。
「演技について悩んだのは大変でしたが、それ以外にはありません。時間も十分にありましたし、打ち合わせもたくさんできてよかったです」
―『チイント』に対する意味が人一倍でしょうね。
「実際のウェブトゥーンもそうですが、僕にとっても人生史を盛り込んだドラマだと感じます。新しい人たちと出会えてよかったですし、素晴らしい作品に参加できて嬉しく思います」