バッティングセンターの70キロ打席に
男子高校生ふたりが入ってきた。

どうも野球経験者の男子が初心者の友人に
バットの持ち方から打席の立ち方まで
手取り足取り教えている。

程なくしてゲームスタート。



バッティングが初めてだったら当然なんだけど
空振りばかりで、なかなかバットにボールが当たらない。


わかる!わかるよー!

わたしもJKだった30年前
初めてのバッティングセンターでバットに当たったの
20球中、たったの2球だった。

で、悔しくてもう1ゲームやっても同じでさ。


っていう大昔の自分と
打席で懸命にバットを振る初心者男子の姿を
重ね合わせて見ていたら

途中から「打てない」「当たらない」などと
弱音を吐き始めた。

そんな彼に、友人はうしろからぴしゃりと言ったのだ。



「や、できるって!!






ちょっと今のせりふ
わたし(45)にも言ってくれ!!

って思ったくらい
前向きで勇気の湧いてくるような声で。

その声に後押しされるように
今まで空を切り続けていた彼のバットに
初めてボールが、ぽこっ!って当たった。

やった!


その後、打席を重ねるごとにタイミングをつかんできたのか
確実に空振りは少なくなってゆき
連続してバットに当たるように。

弱音を吐いていた
先ほどまでの彼とは別人のようである。




@小倉駅(2023年)



中年となったわたしの今の環境で
「大丈夫!」「できるよ!」なんて
声をかけてもらえる機会は、まずない。

たとえば勤務先では
わたし含めたアルバイト従業員全員が勤続10年以上であり
できて当たり前なのだろう。

怒られたり注意はされても
褒められたり励まされたりなんてことは
1ミリたりともなく
いつもどこか萎縮している感が否めない。




『君ならやれる!』


たまにでいいからそんな言葉をかけてくれる
松岡修造的存在社員が
同じ会社にいたらいいなと思った瞬間を記しました。