バッティングセンターのホームランボードに
打球を命中させることだけに
今のすべてを懸けている、中年スイッチヒッターです。
いつものバッティングセンターで打っていると
自分が入る打席の隣に設置されている
ストラックアウト※に
制服姿の高校生の男の子がふたり、入ってきた。
※投球で、いかに多くのパネルを射抜けるかのゲーム
これは大野台バッティングセンター(神奈川県)で撮ったもの
すらっと背の高い男の子が先に投げるようだ。
そしたらすかさず、もうひとりの男の子が
投球する彼に声をかけたんですよ。
「ねーねー、ゆめちに送るために動画撮っとく?」
“ゆめち”とは、おそらく
交際している彼女を指すのだろう。
わたしは小さく感動した。
友人のかっこいい姿を動画におさめて
彼女に見てもらおうよ!って
さらっと言えることに。
すごく素敵な提案じゃない?
…
自分の昔の話で恐縮ですが
わたしはクラス替えのあった高2から
突然、人とのコミュニケーションの取り方がわからなくなり
高校卒業まで友達がいなかった。
6時間目の授業が終わるまで
ひと言もしゃべらないなんてザラで
放課後、部活で柔道場に行ってやっとしゃべる、みたいな。
柔道部の数少ない女子部員は
けがとか筋トレが耐えられないなどの理由で辞めしまって
残ったわたし以外は全員男子部員。
必要な会話はするけれど友達ではない。
大人になった今は
とにかくひとりが好きで
友人がいなくても全然困らないけれど
多感な10代の頃は
教室でひとりでいることへの人の目も気になったし(誰も見てねーわ!)
正直言うと、何でも話せる友達がほしかったかもしれない。
自分がほんのちょっと勇気を出すことで
このつまらない高校生活は変えられるのではないかと
当時、薄々感じなくもなかったが
このわたし。
勇気を出さないほうを選んでしまいました。
…
ストラックアウトの彼らを見ていたら
久しぶりにそんな記憶が蘇って
ああ、羨ましい友情だなぁって
きゅんとしたのです。
彼らは交代で何ゲームか投げて
長身の男の子は最後にたくさんのパネルを射抜き
動画を撮るよと言った、やや小柄な彼は
パネルが1枚も射抜けず
「オレ野球、絶対ダメだわ〜!」
って、笑ってた。
ふたりとも、めっちゃ輝いてんぞ!!!!!