幻の国産戦闘機シリーズ【第3回】
キ87 ― B-29を撃ち落とすための“切り札”だった?
太平洋戦争末期、自由に日本本土を飛び回るアメリカの大型爆撃機・B-29に対して、日本軍は有効な迎撃手段を持っていませんでした。
その状況を打破すべく、高高度迎撃に特化した新型戦闘機として注目されたのが――
この「キ87」でした。
🔧 計画スペック
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全長:約11m
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エンジン:ターボチャージャー付き「ハ213」
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最大速度:約680km/h
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武装:30mm機関砲×2、20mm機関砲×2
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主な特徴:与圧式コクピット、空冷エンジン、大出力・重武装
その姿は、アメリカのP-47「サンダーボルト」を彷彿とさせるほど頑丈で重厚。
そして、爆撃機を一撃で撃墜できる火力と、高高度での戦闘に対応した設計が施されていました。
🛠 なぜ実戦投入されなかったのか?
試作機は完成しており、数回の試験飛行も行われました。
しかし、以下のような問題が重なり、実戦に投入されることはありませんでした。
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ターボチャージャーの不調
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深刻な資材不足により量産不可
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戦局悪化で開発の優先度が低下
「あと半年早く完成していれば…」と、今でも語られる戦闘機のひとつです。
💭 もし実戦投入されていたら?
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B-29迎撃専用部隊「キ87隊」が本土に配備されていたかもしれません
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富士山上空での高速ドッグファイトが実現していたかもしれません
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終戦後も改良型が開発され、「国産重戦闘機」として発展していた可能性もあります
そんな“もしも”の空に、キ87の勇姿を重ねたくなるのです。
▶︎次回予告:異次元の設計思想を持つ「キ94計画」
次回は、さらに高高度性能を追求した戦略戦闘機キ94をご紹介します。
常識を超える設計とは?そして日本の戦略にどう関わったのか――?
どうぞご期待ください!