【第1回】巨艦・加賀――空母黄金時代の重厚な主役
かつて日本海軍が世界に誇った航空母艦「加賀」。
その圧倒的な存在感と重厚な設計は、日本の空母黄金時代の幕開けを象徴するものでした。
◆ 戦艦から空母へ――加賀の生い立ち
加賀は元々、戦艦として建造が始まった艦です。しかし、1922年のワシントン海軍軍縮条約により建造が中止され、空母へと設計変更されました。
この経緯のため、他の空母に比べて重装甲・大排水量という特徴を持ち、異色の存在となりました。
◆ 改装によって飛躍的に進化
当初は上下三段の飛行甲板を持つ特殊な構造でしたが、1935年の大規模改装によって上下一体の全通飛行甲板へと変更。
これにより航空機の発着艦能力が大幅に向上し、最大搭載機数は90機近くに達しました。航空戦力の要として、生まれ変わったのです。
◆ 加賀の主な戦歴
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1937年:日中戦争で中国大陸への空襲作戦に参加。
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1941年:真珠湾攻撃において、第一航空艦隊の主力として出撃。大戦初頭の大成功に貢献。
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1942年:ミッドウェー海戦に出撃。しかし、米軍機の攻撃により炎上、最終的に味方駆逐艦の魚雷により自沈。
◆ 静かなる最期
加賀はミッドウェー海戦で大きな被害を受け、艦内火災が制御不能となったため、総員退艦の後に自沈処分されました。
最期まで戦い抜いたその姿は、まさに“巨艦の矜持”を体現していたといえるでしょう。
次回は、加賀と共に太平洋を駆けた快速空母――
【第2回】蒼龍――軽快なる突撃空母の真価
をお届けします。どうぞお楽しみに!