【世界の次世代戦闘機】ドイツが目指す“空の支配”FCASとは?
欧州発の超国家プロジェクト「FCAS(Future Combat Air System)」。
これは、単なる次世代戦闘機開発にとどまらず、“空の支配”を目指す一大構想です。
今回は、その全体像と、なぜ今このプロジェクトが動き出しているのかに迫ります。
■ FCASってなに?
FCASは、ドイツ・フランス・スペインの3カ国が中心となって進めている未来の統合戦闘航空システム。
中心となるのは第6世代戦闘機「NGF(Next Generation Fighter)」ですが、他にも:
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無人機(リモートキャリア)
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クラウド型戦術ネットワーク(Combat Cloud)
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AIによる指揮支援システム
などが含まれており、まさに**“空のIoT”**とも呼べる構想です。
■ なぜヨーロッパは独自に開発?
背景には、アメリカ依存からの脱却と自主防衛力の強化があります。
NATOの枠組みに依存しつつも、ヨーロッパは独自の防衛力を模索しており、FCASはその象徴。
また、技術と産業の主導権を確保するために、国産開発が重視されています。
■ NGFの特徴
NGFは、F-22やF-35を超えることを前提に設計された第6世代戦闘機。
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ステルス性と超機動性の両立
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高度なセンサーとAI統合
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他の無人機との連携による「チーム戦」前提の設計
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電子戦能力の強化
など、従来機とは異なる「ネットワーク前提」の発想で作られています。
■ F-35との違いは?
F-35は単体での多機能性に優れていますが、FCASは**システム全体での“分散・連携・統合”**を重視しています。
つまり、1機で戦うのではなく、複数の有人・無人機がチームで戦う未来型ドクトリンです。
■ 日本との違いは?
日本が進めるF-X構想は、F-22をベースにした日英伊の協業(GCAP)が中心。
一方でFCASは、欧州主導での完全自立型システム構築を目指しており、開発思想にも違いがあります。