【第20回】三菱 F-1 ― 日本初の実戦用国産戦闘機、その意義と歩み
戦後、日本は航空機の開発を長く制限されていました。
しかしその中でも、自国の防衛を自らの手で守るため、少しずつ歩みを進めてきました。
そして1970年代。ついに誕生したのが、**日本初の実戦用国産戦闘機「F-1」**です。
F-1とはどんな戦闘機?
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開発: 三菱重工業
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初飛行: 1975年
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配備開始: 1977年
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任務: 対艦攻撃、対地攻撃、近接航空支援(CAS)
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機体のベース: 超音速練習機「T-2」
T-2との違いは?
F-1はT-2をベースにして開発されましたが、
れっきとした攻撃機仕様の戦闘機です。
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火器管制装置(FCS)の搭載
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対艦ミサイル「ASM-1」運用能力
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機関砲(JM61A1)搭載
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強化された翼下ハードポイント
当時、日本の主な脅威は「艦隊による侵攻」でした。
それに対抗すべく、“対艦攻撃機”としての役割を担っていたのがF-1です。
量産数は?運用は?
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量産数:77機(少数精鋭)
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配備基地: 新田原基地(三沢にも)
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退役: 2006年(F-2に引き継ぎ)
運用は実戦未経験ながら、冷戦期の日本の防空体制を支えた存在でした。
F-1の“限界”と“功績”
限界
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機体が小型で搭載兵装に制約あり
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当時すでにF-15が登場し、性能差が歴然
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攻撃機としては航続距離に不安
しかし…
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「国産でやれる」ことを証明した機体
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戦後初の国産実戦機の量産・配備
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航空自衛隊の**“防衛技術の自信”を取り戻したマイルストーン**
次回予告:さらに国産化へ!T-2練習機の正体と進化
次回は、F-1のベースとなった超音速練習機──
**「T-2」**に迫ります。
なぜF-1とそっくりなのか?
なぜ練習機でありながら戦闘機に匹敵するのか?
国産戦闘機へのステップアップに必要だった「超音速訓練機」の秘密をひも解きます。