【第15回】FCAS ― ヨーロッパ3か国が描く空の未来システム

第6世代戦闘機の開発はアメリカやイギリスだけではありません。
ヨーロッパの大国、フランス・ドイツ・スペインが連携して進めているのが、
この**FCAS(フューチャー・コンバット・エア・システム)**です。

ただの戦闘機ではなく、「空の作戦そのものを再定義するシステム」。
その壮大な構想に世界中が注目しています。


FCASって何?

FCAS = Future Combat Air System(未来空中戦闘システム)

これは単なる次世代戦闘機ではなく、
・有人機(NGF)+ 無人機(Remote Carriers)+ クラウドAIを軸に構成される、“空の作戦パッケージ”です。

🛫 主役はNGF(Next Generation Fighter)という第6世代戦闘機
📡 それを支援する無人機群「リモートキャリア」
☁️ そしてすべてをつなぐ戦闘クラウド(Combat Cloud)


FCASの中心:NGF(新型戦闘機)

NGFは、今のラファールやユーロファイターの後継にあたる機体で、
以下のような性能を想定しています:

  • 高度なステルス性(ステルス形状+素材)

  • 極めて高度なセンサー・電子戦能力

  • AIと連携した意思決定支援

  • 高い機動性とネットワーク対応力

特に「戦闘中にAIが戦術を最適化する」点は、まさに未来的。


無人機“リモートキャリア”の活用

FCASでは、複数の**無人支援機(リモートキャリア)**がNGFと編隊を組みます。

  • 電子戦や陽動任務

  • 空対空/空対地攻撃

  • 情報収集とリアルタイム共有

これにより、有人機のリスクを下げ、戦闘効果を最大化します。
まさに“少数精鋭+無人チーム”によるスマートな戦い。


戦闘クラウド ― 空の情報網

FCASが他の計画と一線を画すのが、
“Combat Cloud(戦闘クラウド)”という構想。

すべての航空機、ドローン、センサー、指揮官がデータで常時つながり、
戦況が即座に可視化・共有されるネットワークが構築されます。

📶 これにより、部隊は“リアルタイムで連携し、即座に最適解を出す”ことが可能に。


日英伊との違いは?

項目 FCAS(日仏独) GCAP(日英伊)
中心技術 データ共有・電子戦・クラウド連携 AI操縦支援・無人機統合

主導国

フランス(ダッソー)・ドイツ(エアバス)

イギリス(BAE)・日本(三菱)
機体名 NGF(Next Generation Fighter)
テンペスト(Tempest)
 

🛰️ 両者とも“未来の空の戦術”を見据えていますが、
FCASは特に「ネットワーク全体での優位性」を重視している点が特徴です。


初飛行と配備予定は?

  • 初飛行:2030年代前半

  • 実戦配備:2040年前後を想定

  • プロトタイプ機はすでに一部CG・モックアップが公開されています。

また、日仏独の政治的連携や産業分担も話題になっており、
**「欧州の結束力が試される大プロジェクト」**とも言われています。


次回は、これまで紹介してきた第6世代戦闘機すべてを比較する総集編を予定しています。
性能、思想、導入国、配備予定などをまとめて、わかりやすく整理しますので、お楽しみに!