弁護士の仙頭真希子です。
前回の講座の最初にも,宿題で自分が気がついたやり取りについて発表しました。
宿題は,「子どもの不適切行動に注目しない,そうした場合の子どもの反応を
見る」というものでした。
私が発表した実例です。
娘がかわいいゴムを持って遊んでいたのですが,私に持っててと渡してきたので,
私は預かって台の上に置いておきました。
しばらくして,娘が「ママゴムは?」と言いに来たので,台の上を見ると,ゴムがありません。
「○○ちゃんから預かったゴムはママここに置いといたよ?その後でどこか持っていった
んとちがう?」と言うと,娘は「違う」と言います。
そして,「ママゴムどこに持っていったん?」と怒り気味で聞いてきて,私が同じことを
答えたところ,急に怒り出して,「ママ,もうそんなことせんといてよ!」と言ってきました。
娘は,私が無くしたと決めつけて,怒ってきたのです。
私は,腹が立って,今までの私なら「そんな勝手に決めつけて人のせいにしたらいかん!」
などと説教していたと思います。
不適切な行動に対しては,私があるべき姿を教えてやらなければと思っていたからです。
でも,アドラーを学んで,この不適切行動は見逃すことにして,「ゴムがなくなったから
嫌だったん?」と娘の気持ちを受け止めてあげて,「ママと一緒に探そう」と言いました。
そして,探したところ,娘の大事なもの入れの箱の中にゴムはありました。
やはり,予想どおり,自分で持っていっていたみたいです。
私が「○○ちゃん,ゴムあったよ」と見せると,娘はキラーンと笑顔になりました。
私が「ママが無くしたんと違うかったな?」と言うと娘は「うん」というので,
「そしたらママに何て言うん?」というと,「ごめん~」と謝りました。
このやり取りを発表して,実際に,私が自分の役を別の人が娘の役を
ロールプレイした後,今度は,私が娘の役をやりました。
勝手に人のせいにして怒った手前,最後に「ごめん~」という時の気まずさを
リアルに体験しました。
今までのように,「そんな人のせいにしたらいかん!」と怒りながら,ゴムを探し出し,
「ほら,あったやろ,ママが無くしたんと違うかったな!」と怒り顔で言うより,実際にした
やり取りのほうが,ずっと娘には「悪かったな」と感じさせることができるということが
よく分かりました。そして,怒らない分,自分も嫌な気持ちを引きずらず負担が軽いのです。
いつもいつもうまくはいきませんが,子どもが小さい分,こちらの対応を変えると,
子どもの反応にもすぐに表れるようです。