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 当会の書籍 「岸町3丁目から。」 について、先日、朝日新聞さんに取り上げていただきました。
 お陰様で、問い合わせや売上も伸長しております。新聞社の方々をはじめ、皆様方には、心より感謝いたします。

 また、「記事を読みました」と、疎遠になっていた知人からも何件か連絡がありました。
「 本と明美のイメージとは、結びつかなかった 」というような感想を、必ずいただきます。
そもそも本書における、私のページのタイトルは

 

「読書が苦手だった私」

子供の頃から読書なんて全くしませんでしたし、国語も苦手でした。
それを変える切っ掛けになったのが、オー・ヘンリー 本

彼の著作を読んで、意識が変化したというエピソードは、「岸町3丁目から。」にも書かれています。




「岸町3丁目から。」アマゾン3 文川明美のページより 一部抄記 p.203~

  高校時代、あひる坂(学校に続く緩やかな坂道の通称)を歩く足取りは、明るく行こうと心掛けていた。
 もちろん困難や疑問はいくらだってある。
 自分を鳥に例えるなら、ウグイスみたいに鳴けない、白鳥みたいに飛べない。泳ぐ池をながめて、清濁を比べてみるとか。
 悩む前に、
「それには、答えがあるのかしら。愚問、良問、難題のどれ?」
 と、選り分けるべきなのか。
 クチバシを尖らせたくても、鶴みたいに格好良くはない……。

 不満がたまってしまうのなら、それをパワーに変えればいいのだろう。落差に転んでしまうのなら、課題にして向かって行く。乗り切れなくても、折り合いが付くように。時を経て、一変する場合もあるのだし。二十一世紀には、アヒル口が可愛いと流行ったりして。

 高校生活、それ自体の環境も気持ちを大らかにさせてくれた。先生も生徒も、それぞれの意志に任せ、干渉しない。押しつけようとしない。
 人生の計算式も力学もコンポジションも、関心を向けようが向けまいが本人次第。
 進路も、やりたい勉強も自主性を尊重する。自由な学校である。

 担任の伊藤先生も
「一女の生徒は、いちいち忠告しなくても自分の道を進んで行く」
 と仰っていた。しかしながら、細やかに生徒を気に掛けてくださった。目標も信念もなさそうな私のことは、啓発したかったのかも? 高校三年の二学期に入ると、
「これは、読みやすくて面白いよ」
 伊藤先生は本を貸してくださった。
 オー・ヘンリーの作品であり、魅力と迫力を感じて惹き込まれた。彼の文章には風情がある。表現がイメージの中で色づき広がる、さらには心の機微を打つ……ような。

 オー・ヘンリーは、異色の経歴の持ち主だった。
 医師の息子として生まれたが、三才のときに母を亡くし教育者である叔母に育てられた。
 十五才からは社会に出て、色々な仕事にチャレンジする。
 銀行で出納係をしたこともあるが、後に、銀行の金を横領したとの疑いで起訴されてしまう。有罪判決が出るまでには、逃亡生活を送ったり、最期の妻を看病したりと、波乱に満ちた体験もした。横領事件の真相については、本人による説明もなく不明のままである。

 以前からコラムや小説を書いていた彼は、服役中にも執筆を続けた。密かに、作品を雑誌社や新聞社に送って、三作が出版を果たす。釈放後は次々と小説を発表、人気作家となった。
 彼の著書は世界中の読者を魅了。日本でも英語の教科書に採用されている。

 作者の生き様そのものが
「破天荒こそ、人生の醍醐味」
 と私の感動のスイッチに触れた。実体験が生かされてこその、迫りくるような彼の作品。幼少時から嫌いだった読書に対して、こんなに面白い本もあるんだなぁ、と興味を覚えた。〈続く〉

 

 


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赤本 岸町3丁目から。
「一女」生から「一女性」へ、震災直後の同窓会
浦和第一女子高校OG7名+先生による共著

 

 

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