彼らの撮影が済むと、主人は彼らと私たちを店の奥に案内しました。
暗い廊下をしばらくゆくと
つきあたりに鉄扉がありました。
主人がぎりりと扉を開けると
そこは、ストロボの鋭い白光とは違ったやわらかな光に
満たされた洋間でした。
そして、あらかじめ予定されていたかのように
本格的な、つまり英国式のお茶がテーブルに用意されていました。
暖炉には赤々と火が燃えています。
外国人夫妻と私たちは互いに自己紹介をしました。
彼らは日本に招かれたイギリスの技師でした。
私たちは日本語、彼らは英語、そして主人は声にならない言葉。
しかし、そのことが障壁になることはなく
すんなりと私たちの心に伝わってきました。
夫妻との会話のなかにどこかちぐはぐな部分があることを
私も彼女も気になっていたのですが、そのことをあえて問いただすことが
はばかられるほど、ゆったりとした時間に私たちは包まれていました。
(このイラストは 「 *BOUS* 」 様からお借りしました)