一郎くんは、マディソン郡の小さなレストランで食事をしていました。
外はひっきりなしに雨が降っており、窓ガラスについた雨滴がときどき
斜めの線をつくって木枠に流れます。
広場では、ひとつの物語が静かにエンディングを迎えていました。
無愛想な店主がテーブルにコーヒーを運んできます。
待ち合わせまでには、まだ時間があるので
「仕方ない、発音の練習でもするか」
一郎くんは、ポケットから白い本を取り出しました。
「それにしても、へんてこな本だな」
彼はぶつぶつ言いながら
「 味覚 」 のページを開くと、大きな声でひとつひとつ
読み上げました。
店主の心に小さな虹が立ちました。
一郎くんが店を出ると、雨はすでにやんでおり
晴れ間が広がっていました。
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ここまでのまとめです。
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