昨日の将棋界:編入試験とA級8回戦
昨日の将棋界は盛沢山でまずは福間のプロ編入試験第1局から。「この試験官、本気だ…」 ファン戦慄の一局で山下四段が完勝。福間女流六冠は黒星スタート 棋士編入試験第1局(マイナビニュース) - Yahoo!ニュース福間香奈女流六冠のプロ入りを懸けた棋士編入試験は、第1局となる山下数毅四段戦が1月27日(火)に関西将棋会館で行われました。得意のゴキゲン中飛車を用いた福間女流六冠ですがこの日は惜しくも108手で敗news.yahoo.co.jp この記事にあるように後手番山下の圧勝で編入試験第1局は終わった。この試験の突破可能性がかなり低いことを予想してはいたが、内容を観る限りは本当に厳しい。老境に差し掛かった棋士ならともかく、また隙間で生まれたような少し前の新四段達とも段違いの実力のある今回の試験官の中でも既に竜王戦4組に達している山下相手ではこうなってもやむなし。 中飛車が真ん中から守備を突破され、左金がそのまま残るか。山下に限らず、他の試験官も福間の作戦がほぼ読み切れるので、万全の対策を仕込める。福間サイドの応援が多いだろうが(といいつつ、どうも西山の時ほど応援が少ないような印象はある・・・過大な配慮を求めているという感覚はある)、にわか仕込でどうにかなるような状況ではないように思える。 興行的な意味で女流棋士のプロ棋士化を進めたい意向があるのであれば、試験官はフリークラス棋士とするのが妥当なのだろうが、フリークラス棋士でも山下が来てしまう。では、ということで、最近C2からフリークラスに転出したような棋士が相手なら・・・ということは以前も書いたが、この設定で女流棋士が勝利してもあまり盛り上がらないだろうか。 大昔の瀬川の編入の時は、奨励会(但し佐藤天彦)、フリークラス(神吉:勝てるはずの相手)、A級棋士(久保:無理ゲー)、女流棋士(中井:勝って然るべき)、中堅棋士(高野:ここが一番のガチだったか?)で、瀬川の勝利が望める布陣であった。他方、現行ルールで正面から編入突破してきた人達も複数いる以上、第1回の建付けに戻す合理性はない。どうも、当面は女流棋士サイドの勝ち目のない番勝負が続くだろう。・・・・・・・・・・・・・ 次にA級順位戦8回戦から。多くのファンは、挑戦権争いは永瀬が糸谷に勝利するだろうと見ていたと思うし(対戦成績が永瀬の11勝2敗を評価してのこと)、降級戦は先手番の佐々木に中村が、同じく先手番の増田に千田が勝てるとは思えず、最終戦に持ち越しと予想した人が多かっただろうと思う。佐藤天彦ー近藤は予想が難しいが近藤もそこまでの好調ではないし佐藤が先手番を活かしても不思議ではない。いずれにしても、今回で決まらないはず、決まらないで・・・というのがファンの願いであろう。 実際は相当に予想とは違った。まず糸谷ー永瀬だが、糸谷の初手▲3六歩で力戦確定し、永瀬が用意した作戦で序盤をぶっ飛ばすモードが崩れる。佐藤は先手番なのにやたらに前のめりな攻勢。A級でこのような指し口が通じるはずがないと予感させる。増田は悪くない立ち上がりだったが、中盤の急所で殆ど時間を使わないまま形勢を損ねる。棋王戦挑戦者であり、NHK将棋番組のインタビューで自身の成長ぶりをアツ語りしていたのに。。。千田が勝つとその瞬間、降級戦から離脱。佐藤天彦が苦戦でこのまま敗北すれば最終日に降級戦の興趣は残るが、では中村は?と観にいくと、AI評価はともかく佐々木勇気の駒が前進していて、中村が受け身である。人間目線では中村が勝ちにくそう。。。結局、増田は21時台に投了(いやぁ、ないわ~)、中村と佐藤は一生懸命手段を探していたが、形勢にあやはなくなり、そのまま押し切られた。 時間は前後するが、糸谷はAI評価はともかく人間目線では明白な悪手は指していないようで、消費時間では優勢のまま進めていた。評価値は永瀬側ながら人間目線では非常に混み入っているところで指されたのが1図の△5八銀。精算して桂馬を4六から打ち、先手玉を追いかけるプロセスで先手の6筋の大駒群を除去できるだろうという読みと推測する。それなりの裏付けもあっての着手だったのか、目分量だったのか。結果は読み漏れがあって、この手で形勢は逆転。糸谷は適確に先手玉を逃がした。まだ22時台のこと。 連盟理事職をこなしながら、糸谷の今年度の成績は快調。竜王を取った時のような猛烈な上げ潮までは感じないが、もしかすると風が吹いているのかも。とはいえ、名人挑戦は永瀬だろうという予想は変わらないのではあるが、心情的には今期を逃すと伊藤匠が上がってくる来期以降の挑戦の目はさらに減ると思うので糸谷を応援したい気持ちが強いかな。