古文の記事ばかり書いているので、古文講師だと思われている方もいると思いますが、数学講師です。数学はブログにしにくいので扱っていないだけで、古文も教えてはいますが、どちらかといえば古文は趣味的な感じです。


今回は、岡本梨奈さんという古文講師の問題集からの話になります。



 

 この問題集の第一問が、堤中納言物語の「はいずみ」でした。東洋大学で出題されたものを扱っています。また同一箇所が日栄社の「日東駒専&三近甲龍の古文」の第十九講でも扱われており、こちらは、龍谷大学で出題されたと記述があります。



 

 

どちらの問題集も「はいずみ」の冒頭部分から始まっています。


妻のいる男が、その妻以外の若い女性を気に入ってしまい、その女性のところに通うようになりました。書かれたのは平安時代なので一夫多妻制です。とはいえ、女性が物でないのは現在と同じです。元の妻は男が他の女性のところに通っているのは知っていましたが、出ていくところもなく男の家に仕方なく住んでいました。


ところが、新しい女の両親が、このような妻がいる男に娘を取られたといった感じで、その男に強く言うのです。男は中途半端な気持ちではないと言い張り、最後には自分の家に連れて帰ると言い出します。


男の家には妻がいます。男は家に一度帰り妻にしばらくどこかに行くように言います。行くあてもない妻は男のいないところで泣き続けますが、男は新しい女を連れてくる日を妻に告げ、前日に出ていくようにしてしまいます。


妻はかつて自分に仕えていた人のところに行くこととしました。その家までは召使いが送り、戻ってきてから道中の様子を男に告げます。男はひどいことをしたと思い、その召使いに道案内をさせ妻を連れて帰ります。


勝手な男ですよね。


で、翌日、迎えに行くこともせず新しい女を放置してしまいます。


少し経って興味本位で新しい女の家に行きます。その女は完全に油断していて、化粧もせずにダラダラしていました。男の存在に気付き慌てて白粉を塗ったつもりで男に会います。男は逃げ出します。とんでもない男だと女の両親は怒るのですが、女の顔をみて驚くのです。顔が真っ黒だからです。塗料用の掃墨を塗っていたからなのですが、驚きすぎた両親は陰陽師を呼んで祈祷まで始めます。その女は泣いていて、しばらくすると涙で掃墨が落ちたというストーリーです。



 

 

こちらの本に本文及び現代語訳も載っていますので、機会があればぜひ。


ということで、数学講師の古文講座でした。