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運動や楽器の技能習得、特別なアミノ酸が働き
2011年4月6日 提供:読売新聞
スポーツや楽器演奏などの技能を習得するのに、「Dセリン」という特別なアミノ酸が重要な働きをしていることを慶応大学の柚崎通介(ゆざきみちすけ)教授(生理学)らが明らかにした。
Dセリンは、幼若期のマウスの小脳に豊富にあるが、成長するとほとんどなくなってしまう。Dセリンを上手に活用することで、大人でも効率的に技能の習得ができるようになるかもしれない。科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」に4日発表した。
練習の繰り返しで上達する技能は、小脳の神経細胞同士をつなぐシナプスで、情報伝達を担うたんぱく質の数が増減することで、記憶されると考えられている。
柚崎教授らは、通常のアミノ酸とは構造の異なるDセリンが、技能習得が容易な幼若期にだけ小脳に大量に存在するのに注目。マウスの実験で神経細胞を刺激すると、Dセリンが放出され、小脳のシナプスの情報伝達を担うたんぱく質が減ることを発見した。Dセリンが働かないようにしたマウスでは、技能習得が著しく低下することもわかった。
柚崎教授は「人でもマウスと同じようにDセリンが重要な役割を担うと考えられる。Dセリンの働きを制御することで、大人でも効率的に技能の習得ができる可能性がある」と話す。
運動や楽器演奏などに関わる脳部は、体性感覚野、頭頂葉に位置している。人の触覚に関わる脳部が刺激されます。これらは手の微妙な動きや指先の握り方など、物に触ったときに感じます。
また、運動時では、手足を動かしますから「運動野」という、脳部が関係しております。これらは手足を動かすときに働きますが、無意識の運動に関しては「小脳」が関わっております。この小脳では「運動記憶」に深く関わっています。
例えば何年ぶりかに自転車に乗ってもすぐに乗れるのは、これら運動記憶です。この小脳は無意識的行動や運動にも関係しております。
朝、出かける時に自宅のカギを掛けたか急に思いだし、途中で確認するために自宅に戻るようなケースは多々あります。
これらが無意識的な運動だからです。一々、確認してカギを掛けたと気ぜわしい朝の時間に行う人は少ないのです。
このように行動や運動は解明されており、分かっております。
但し、これらの作用や運動に関わる脳内物質、ある種のアミノ酸が関わっていたことは、分かっておりましたが、今回のこの研究発表で「Dセリン」という特別なアミノ酸が重要な働きをしていることを突き止めたのである。
これらは、今後、新薬の開発に役立つ物であり、重要なヒントになるのです。脳卒中などで運動障害にある人たちなど、この「Dセリン」というアミノ酸を合成することで、新薬が出来上がれば、小脳の神経細胞同士をつなぐシナプスで、情報伝達を担うたんぱく質の数が増減することで、記憶されると考えられているというように、無意識運動などが活性化されると予想されるのです。
また、近い将来、このように運動能力を高めたり、楽器演奏などの技能を高めたりする新薬が開発されると思われます。
五感プロデュース研究所、研究員、荒木行彦、