$五感教育研究所-く

社団法人日本アロマ環境協会は、2001年から、小、中、高校生を対象に自然の香りを感じて、人と自然のつながりや人を思いやることを大切さを伝えてきました。この「香育(香りの教育」の具体的な活動事例の紹介や可能性についてディスカッションした「香育シンポジウム」が09年11月8日(日)に一橋記念講堂(東京千代田区)で開催されました。
「香育」を広げて、子どもの豊かな感性を伸ばそう!
第二部、ゲスト講演「身体感覚を取り戻す」明治大学文学部、教授、斉藤孝氏五感を研ぎ澄まして鍛える積極的受動性。
現代の子供たちは人で遊ぶ機会が少なくなっています。かつて好まれた「馬乗り」や「相撲」、「だるまさんが転んだ」など、全身を使い肌と肌が触れ合うような遊びは廃れてしまいました。身体のコミュニケーションが減ったことで、昔の子どもと、今の子どもとではコミュニケーション力において決定的な素地の差が出ています。
コミュニケーション力の基本は身体的感覚にあります。身体全体で敏感に感じ取り、相手に返していくのがコミュニケーションです。心身の「かまえ」が閉じていると、交流が起こりません。
では、学習の際に一番大事な「かまえ」は何でしょうか。積極的なかまえはもちろん大切ですが、学習はある意味受動的な好意です。また、生きていく上での基本は環境に順応することですから、むしろ積極的な受動性が必要です。
身体のコミュニケーションについても、この積極的受動が大きく関与すると考えています。
積極的受動性を育むには、「型」を習得するのがよいと思います。
「型」は、身体感覚を研ぎ澄ます、非常に優れた砥石(といし)みたいなものです。相撲の四股立ちでも、書道でも何でも構いません。初めのうちは「型」になかなかなじめないものですが、練習するに従ってそれが自然だと感じるようになります。
そして、「型」と異なる所作をすると、気持ち悪いと感じるようになるのです。小学校だけでなく、中学、高校においても五感を出来るだけ使い、常に生きた感覚の中で勉強していくことが大事です。例えば授業で先生が話した内容を、自分が次に話さなくはならないと思って聞いていると、積極的受動性から積極的な受動性に変わります。このときの身体のかまえは、敏感な触覚や嗅覚が働いている感じ、集中して、かつリラックスしている状態です。
身体のよいかまえは、親や先生、周りの人が手伝ってあげないとなかなか出来ません。例えば、よい香りを全身に行き渡らせようにゆったり呼吸をすると、積極的受動性の構えが生まれます。ですから、ぜひ、皆さんも五感が働く環境設定を実践していただきたいと思います。
12月21日、朝日新聞より引用。
私は人の嗅覚に関して、心地よい香り、強い香りばかり嗅いでいることへの危惧として警鐘を鳴らしている。
それは、現在、日用品、柔軟剤、衣料用洗剤、消臭芳香剤、入浴剤などに強い香り、人工的な香り、合成香料の香りを常に嗅いでいると、臭い匂いなどに対して、極端に反応し、毛嫌いするのである。
常によい香り、快適な香り、心地よい香りなどを嗅いでいると、人の嗅覚は慣れてしまい、麻痺するのである。
だから、腐敗臭や臭い香りを嗅ぐと、気分が悪くなったりするのである。
また、強い香り、快適な香りを常に嗅いでいると、強い刺激を求めるのが人の脳なのです。つまり、もっとよい香り、強い香りと求めるのである。これらは、人の脳の快感と深い関係があるのです。
人の脳の特徴として、楽しい、楽だ、快適、快感が好きである。逆に、辛い、臭い、楽しくない、不快が嫌いなのです。ですから、よい香り、強い香り、心地よい香りを求め、もっと強い香り、快適な香りとエスカレートして行くのです。ですから、私は臭い香りを嗅いだ後に少しでの快適な香りを嗅ぐと心地よい香りと認識するのが人の嗅覚なのです。
それが、常に強い香り、快適な香りを嗅いでいると人の嗅覚は慣れてしまい、麻痺することが人の嗅覚の鈍感化に繋がるのです。
だから、私は子供の頃から嗅覚の鍛錬の重要性を提唱しており、「五感教育」を日本の学校にも導入すべきと提唱しているのです。
これらから生まれたのが「香育」という考え方です。危険臭や本当に快適な香りなど、正しく認識し、理解することで五感も発達するのです。
今後とも、私ども研究所では、これら五感教育わ実施、指導するため各方面に呼びかけて参ります。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦