五感教育研究所-f

最近音に対する考え方、変化が起きている。例えば、街中や家庭で耳にする音が進化を続けている。騒音がそうであるように、以前は騒音を抑えることが優先されたが、最近は、騒音を出さない取り組みがされて来ている。

例えば、家電メーカーは騒音を出来る限り抑える努力をしている。以前の掃除機と最近の掃除機の音の違いははっきりしている。最近の掃除機は静かである。洗濯機も深夜の使用することもあるので静かである。

このように、ある音が聞こえなくなると、次に気になる音が耳障りになる。現在の建物は防音性が高いので、外の騒音が聞こえない、そうするとエアコンの音が気になる。エアコンが静かになると今度は、蛍光灯の音まで気になってしまう。

では無音が良いのかというと、以前に完全な無音状態の部屋で人が生活するとどうなるかの実験を行った。30分もしない内に試験者は気分が悪くなったと訴えたのである。不安でしょうがないというものでした。

つまり、人の脳(聴覚)は快感を求めている。心地良い音を求めてもいるのである。

音の演出! 最近、病院、歯科などでもBGMや音楽が流れている所が多くなって来た。例えば横浜市の大型調剤薬局では、店内に川のせせらぎや柱に埋め込まれたスピーカーから、ぼそぼそと人の声が聞こえたりする。これらは薬剤師が患者さんに薬の説明をすると周りのお客さんにその人の病名などプライバシーなどが聞かれてしまうのでこのように敢えて音を出しているのです。

この音の仕組を「サウンド・マスキング」という技術を応用し、人の脳は似た音を聞くと同じ音と判断し、勝手に作って認識する「補完能力」が働くのを利用したものです。

皆さんは、駅のラッシュアワーで駅のプラットホームの階段周辺で「鳥の行き声」などを聴いたことはないだろうか!これはプラットホームの階段を大勢の人が上ると大きな足音がするからです。また、私たちが駅の改札口を通るときに「ピーンポーン」と音がするのも、通過したと認識させるためです。

また皆さんはあまり気がつかないかも知れないが、ビルのエレベーターの到着音は、上りでは音程が高く、下りでは音程が低くしている。

最近、ハイブリットカーが静かなので背後から車が接近するのを気づかないので「擬音」のエンジン音を義務づけたのである。これらを「意味音」と私は呼んでいます。人の聴覚の認知には必要なのである。

私は人の五感研究から、設計事務所、工務店、ハウスメーカーなどとコラボレーションして「人の五感を刺激し、五感に訴える」、空間デザインの提案、カラーセラピー、サウンドセラピーなどを導入し、快適空間、癒しのスペース、仕事のアップ、効率アップなどを目的に提案しております。

例えば、太陽光に近い「LED(発光ダイオード照明)」を活用し、室内で朝から夜までの太陽光を再現したり、臭いの発生、心地良い音楽を流すなど、癒しと脳を刺激し、五感に訴えることで、ストレスの改善、ヒューマンエラー防止など、可能になります。

病院、高齢者施設、保育園、一般住宅など様々な空間で活用出来ます。

私はこれらのシステムを『五感オンデマンド』と名付け推進している。特に私が注目しているのは、病院内での採用である。19年前にアメリカの医療研究グループが病院食と照明の関わりから実験を行った。蛍光灯の下で食事したグループの患者は、平均して退院するまでに3週間かかったのに対して、白熱灯の下で食事したグループは平均2週間と1週間も短くなったのである。この理由は、照明の明かりの色によって、出された食事が美味しく感じ、満足したという結果なのです。このように、人の気分、脳が刺激され、五感に訴えると、「病は気」からではないが、「精神免疫学」という、脳を刺激し、脳に訴えると免疫力が上がることが報告されている。

これらの作用を引き出すのには、照明の光の色だけでなく、心地良い匂いの発生と食事や休息時に心地良い音楽を流す。シルクや綿のタオルなど柔らかな、触り心地のよい素材を使用する。食事も器の色、素材などに拘るなどの取り組みによって、入院患者の入院日数が削減され、入院患者の医療費の削減に繋がり、同時に病院側でもベッド数の確保、回転が速くなることで初診料収入がアップし、病院の運営上にもメリットは大きいのです。

保育園では、これらのシステムを導入することで、子どもたちの情緒安定、身体、精神の健康維持、「子どもの五感を育むことが可能です」

高齢者施設でも同様に効果が期待できる。これらは、脳科学、心理学、感覚生理学を応用した、科学的根拠に基づいて、私共五感教育研究所が「空間デザイン」の提案をしているものです。

五感教育研究所」、主席研究員、荒木行彦