五感教育研究所-u


「検診は楽になったけど、口が乾いているのはまずいな」。
地域の小学校の歯科検診をしていた岡山大学病院小児歯科、岡崎好秀(56)がつぶやいた。
岡崎の心配は子供たちの唾液の減少。昔はちょっと口を開けているだけで、口内が唾液に満ちあふれた。今そんな子はまれ、口の中が乾き、皮膚もカサカサの子が増えている。
唾液腺は15歳ごろまで発達し、20歳ごろから分泌能力が低下するとeわれている。小児期に十分な発達がなければ、ピークが下がり衰えも早くなる可能性がある。
「かつて唾液の分泌量は1日1~1.5㍑といわれていたが、今は800mm~1㍑ぐらい」九州歯科大学教授、柿木保明(54)は言う。
原因は様々ある。まず噛む回数の減少。水分が少なく、硬い食べ物はよく噛んで唾液を出さないと飲み込めない。だが、軟らかなものなら、そのまま飲み込めるし、水や牛乳などで流し込む食べ方も噛まない食生活に拍車をかける。
さらに風邪薬や精神安定剤などの薬の副作用による口内の乾燥、ストレス社会が生み出す緊張も、唾液の分泌量を減らす。
唾液が少なくなると、どんな問題があるのか。虫歯や歯周病にかかりやかくなり、口臭が酷くなる。味覚にも異常をきたす。唾液に溶けた食物の味覚物質が舌の上にある味蕾に触れてはじめて味を感じる仕組みだからだ。
また、高齢者になって入れ歯を装着する際、外れやすくなったり、痛みを伴ったりもする。唾液の威力を示す実験がある。ネズミの表皮を1cm四方切って2日間、放置する。1匹ずつ単独で飼った方の治癒率は20%、お互に背中をなめあった。数匹飼いの方は、75%まで回復した。唾液中に含まれる上皮成長促進因子(EGF)の治癒力とリゾチーム、ラクトフェリンなどの抗菌効果だ。
「手足から化膿するような傷も、口の中では治りが早いでしょう」と岡崎。
唾液の抗菌力は日常生活に必要不可欠なのだ。2/1西日本新聞より引用。
人の唾液の抗菌作用には発がん性物質の毒も消す結果が期待されている。私も以前から、現在の子供たちの唾液の減少を危惧している。
特に私が指摘するのは、全国の小学生の半数以上において「味覚障害」の疑いがある。
これらは正しい食事、食べ方、栄養バランスなどの影響も考えられるが、私は何より唾液の減少が大きな原因だと考えている。
唾液の減少はウイルスなどに対して抗菌作用が低下するので、体内にウイルスが入りやすく、だからうがいをしても風邪をひきやすいのである。
だから、私は「食育」「食育は箸育から」と題して、ご飯食を推進し、よく噛んでご飯とおかずを一緒に食べる食べ方で「口内調味」が可能になり、唾液の量を増やし、同時に味覚の発達を促すのです。
空腹であれば、私たちは美味しそうな料理を見ただけでヨダレ「唾液」が口の中に多く分泌されます。これらが「食欲」となるのです。
現在の子供たちや若者たちにこの食欲にも異変が生じている。好きな物だけ食べる極端な「偏食傾向」である。
好きな物だけ食べ、美味しいとか、食べて快感することなく、ただお腹をいっぱいにする食べ方が増えているのだ。
これらは唾液の減少だけでなく、身体や脳へのエネルギー補給、栄養素のバランス不足から、身体も精神的にも不安定になる可能性が高いのである。
ご飯を中心に、和食に拘り、よく噛んで食べる習慣、朝からしっかりご飯とおかずを一緒に食べ、唾液を増やし、味覚の発達と共に身体、脳の健康で元気に毎日過ごせるようになるのです。
そして、定期的な運動を取り入れるとより一層身体も脳も活性化し、健康で元気に居られることを私から提言致します。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦、