あたりはずれ | 浅慮相乗のブログ

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昨年1月29日のエントリ『寝耳にミミズ』 http://ameblo.jp/senryo-sojo/entry-11760676757.html で書いた佐賀県武雄市の公立小学校に導入されたタブレット端末ですが、故障が大変多いことが明らかになりました。

”児童が端末を落としたり、画面を踏むなどして、明らかに使用者側の扱いが原因で故障に至ったものは31件でしかなかったことが判明。一方、「動かない」「「起動しない」「カメラに接続できない」「充電不能」など機材自体が不良だったと認められるものが204件で、全体の約6.5%に上っていたことも明らかとなった。新品の事故率としてはかなりの高さだが、不具合の原因が使用者側にあるのか機材自体にあるのか分からないケースが52件あり、これらすべてが機材の欠陥だった場合、不良品率は約8.1%に跳ね上がる。現場の教員からは「とにかく故障が多すぎる」との声も上がっており、報告されていない不具合も多数あったとみられる。”
武雄市教育用タブレット端末 不良品続発明らかに|政治ニュース|HUNTER(ハンター)|ニュースサイト
http://hunter-investigate.jp/news/2015/04/post-676.html

こちらは機種決定を伝える昨年1月の佐賀新聞の記事です。

”4月から市内全11校の小学生全員に学習用タブレット端末を貸与する武雄市教委は28日、導入機種を中国製の「KEIAN」に決めたと発表した。システムサーバーや学習支援システムなどを含め、導入予算は約1億2300万円。2月4日の臨時議会に関連予算案を提出する。
 導入する端末の基本ソフトは米グーグルのアンドロイドで、ディスプレイは7インチ、容量は16ギガバイト。1台当たり1万8千円(税抜き)で、3153台購入する。”
武雄市教委、全小学生にタブレット貸与/佐賀新聞ニュース/The Saga Shimbun :佐賀のニュース
※魚拓 https://archive.today/PbhxK

1万8千円×3153台で5675万4千円がハードウェアに費やされました。もし、故障が機器の交換でのみ対応できるものであったのならば、故障率6.5%なら368万9千円、8.1%なら459万7千円が無駄になったと考えることができます。

”教員の方は大分勉強もされて、頑張っていると思うが、タブレットが外国製で故障や不具合が頻発している。”
佐賀県公立小中学校事務研究会・情報推進部 「ICT機器に関するアンケート」結果
http://sajiken.com/H26_ictenq.pdf

引用は武雄市の回答からです。更に、「これらのICT機器が教育に必要だと思うか」との問いに対し、〇を付けながらも、次のように書かれています。

”「はい」に○を付けたが正直自分は微妙に思っている。ネットを繋ぐだけとか、教科書と内容が一緒であれば、眼先を変えた「高価な大人の玩具」になりかねない。
佐賀県公立小中学校事務研究会・情報推進部 「ICT機器に関するアンケート」結果
http://sajiken.com/H26_ictenq.pdf

機器の故障率はHUNTERが武雄市に開示請求を行なったものの、一度は市側から存在を否定された「タブレット型端末のトラブル(故障・不具合)に関する記録」として開示された、各小学校から武雄市教育員会に提出された『タブレット端末不具合報告書』から算出されたものだそうです。

一方、これとは違う数字が武雄市議会で出されていました。

”○溝上教育部長〔登壇〕
ことしの4月タブレット導入いたしまして、基本的には、相対的に子どもたちは興味を持って、学習に生かしてもらっております。そういう中で、トラブルですけれども、タブレットのトラブルにつきましては、初期不良あるいは破損そういうことでですね、全体 3,000 台のうちの約3%に当たります、約 100 台程度ですね、それについてはメーカーのほうに送って、終了したところでございます。
そういうことで、その間、各学校には、予備機を配置をしておりましたけれども、一時的にタブレットが不足するという事態も生じております。ただその不具合の内容がですね、半数以上が初期設定に戻すことによりまして、回復するというような事例が多いもんですから、現在は担当課のほうで、そういう形での修理はしておりますので、それ以降は、大きなトラブル等はあっておりません。”
武雄市議会平成26年9月定例会 9月8日市政事務に対する一般質問 山口 等議員分
https://www.city.takeo.lg.jp/shisei/shigikai/201409/20140908_3.pdf
※魚拓
http://web.archive.org/web/20150414145012/https://www.city.takeo.lg.jp/shisei/shigikai/201409/20140908_3.pdf

”〔市長「パーセンテージを言ってよ、パーセンテージを。3%やろもん」〕”
武雄市議会平成26年9月定例会 9月8日市政事務に対する一般質問 上田雄一議員分
https://www.city.takeo.lg.jp/shisei/shigikai/201409/20140908_5.pdf
※魚拓
http://web.archive.org/web/20150414143844/http://www.city.takeo.lg.jp/shisei/shigikai/201409/20140908_5.pdf

教育部長の答弁の後半を読むと、メーカーに送らずに対応した不具合もあったようです。当時の市長が不規則発言で強調した3%という数字はメーカーに出した修理の割合なのです。

内部対応が可能であったのだから、実際に修理に要した金額は私が出したものよりもずっと低くなるはずと思われても無理はありません。

しかし。

対応に要した人件費はどうでしょうか?先生方が本来ならば教育に割くことができた時間はどうでしょうか?

これを読んでいらっしゃるあなたの職場では取引先が入れた品物に6.5%の初期不良があった時、取引を再考しないでしょうか?