介護されていたのは、僕だったのかもしれない/川田 泰輔
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読みました。
奥様がうつ病になり、苦闘の末、
全快した経緯が綴られています。
病気の専門的なことはわかりませんが、
コーチングを学ぶ者にとって、
非常に示唆に富んだ内容があるので、
ご紹介します。
まず、うつ病の奥様と、医者との会話です。
コーチングを勘違いしている人が、よくやりそうな会話です。
↓pp.25-26からの引用です。
--引用ここから
「すごく苦しいんです」
「そうですか。では抗うつ剤を多めに出しましょう」
「眠れないんです」
「睡眠薬を出しますよ」
「ごはんが食べられないんですが……」
「栄養補助剤を飲んでください」
医療のマニュアル的には、間違っていないのかもしれません。
でも、妻は言いました。
「もう、あの先生にかかりたくないよ……」
--引用ここまで
さらに、その後日の会話です。
↓p.28からの引用です。
--引用ここから
「具合はどうですか?」
「調子よくありません」
「食事は?」
「全然食べられません」
「そうですか。前回出した栄養補助剤は飲めましたか?」
「はい。なんとか飲みました。でも気持ち悪くて……」
すると、その医師は言いました。
「味が、ですか? それなら大丈夫ですよ。バニラ風味にチョコ風味、
それからモカ風味もありますから、3つの味からお好みで選べますよ」
たまらず私は椅子から立ち上がり、声をあげました。
「もう、結構です。……おい、行くぞ。病院を変えよう」
--引用ここまで
どちらも、クライアント(奥様)に対してではなく、問題(病気)に
フォーカスしてしまっています。
そうなると、クライアント(奥様)はどのような気持ちになるのか。
↓p.46からの引用です。
--引用ここから
みんな、病気を治すことばかり考えて、
私のことを考えてくれないじゃない……。
それが……つらいのよ。
--引用ここまで
なぜ銀座コーチングスクールでは、「クライアントにフォーカスする」
ようにと強調して教えているのか、これでおわかりいただけるかと
思います。
この本の帯カバーを折り返した部分には、次の言葉があります。
「妻の病気には、どんな意味があるのだろう?」
何か辛い目に遭った時、
「どんな意味があるのだろう?」
という質問は、効果的かも知れませんね。