「みんな、病気を治すことばかり考えて、私のことを考えてくれないじゃない」 | プロコーチ/コンサルタント育成がライフワーク。

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銀座コーチングスクール代表・「コンサルタント養成講座」講師・会員組織構築コンサルタントを務める森英樹が経営戦略・起業・コーチング・コンサルティング・リーダーシップ・仕事術を語るブログ。

週末起業家大賞にノミネートされている、川田泰輔さんの著書です。

介護されていたのは、僕だったのかもしれない/川田 泰輔

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読みました。

奥様がうつ病になり、苦闘の末、
全快した経緯が綴られています。

病気の専門的なことはわかりませんが、
コーチングを学ぶ者にとって、
非常に示唆に富んだ内容があるので、
ご紹介します。


まず、うつ病の奥様と、医者との会話です。
コーチングを勘違いしている人が、よくやりそうな会話です。

↓pp.25-26からの引用です。


--引用ここから

 「すごく苦しいんです」

 「そうですか。では抗うつ剤を多めに出しましょう」

 「眠れないんです」

 「睡眠薬を出しますよ」

 「ごはんが食べられないんですが……」

 「栄養補助剤を飲んでください」

 医療のマニュアル的には、間違っていないのかもしれません。

 でも、妻は言いました。

 「もう、あの先生にかかりたくないよ……」

--引用ここまで


さらに、その後日の会話です。

↓p.28からの引用です。

--引用ここから

 「具合はどうですか?」

 「調子よくありません」

 「食事は?」

 「全然食べられません」

 「そうですか。前回出した栄養補助剤は飲めましたか?」

 「はい。なんとか飲みました。でも気持ち悪くて……」

 すると、その医師は言いました。

 「味が、ですか? それなら大丈夫ですよ。バニラ風味にチョコ風味、
 それからモカ風味もありますから、3つの味からお好みで選べますよ」

 たまらず私は椅子から立ち上がり、声をあげました。

 「もう、結構です。……おい、行くぞ。病院を変えよう」

--引用ここまで


どちらも、クライアント(奥様)に対してではなく、問題(病気)に
フォーカスしてしまっています。

そうなると、クライアント(奥様)はどのような気持ちになるのか。

↓p.46からの引用です。

--引用ここから

 みんな、病気を治すことばかり考えて、
 私のことを考えてくれないじゃない……。
 それが……つらいのよ。

--引用ここまで

なぜ銀座コーチングスクールでは、「クライアントにフォーカスする」
ようにと強調して教えているのか、これでおわかりいただけるかと
思います。


この本の帯カバーを折り返した部分には、次の言葉があります。

 「妻の病気には、どんな意味があるのだろう?」


何か辛い目に遭った時、

 「どんな意味があるのだろう?」

という質問は、効果的かも知れませんね。