差し押さえについて
こんにちは。
千里コンサルティングオフィス(株)春山です。
差し押さえ、恐い言葉です。
私は未だに慣れません。
世間のイメージとしては、差し押さえ=裁判所から沢山の人が来て家中にペタペタと張り紙を張って・・・といったイメージでしょうか。
もちろんそういった差し押さえも無くはないのですが、今はあまり見かけません。
私はそれよりも、謄本に記載される「差押」や「参加差押」に恐怖を感じます。
この謄本に記載される『差押』
種類はいろいろありますが、任意売却を意識されている方が目にする可能性が一番高いのは『公債権』、いわゆる『税金』の滞納を原因とした差し押さえです。
この『税金の滞納』を原因とした差押登記がいつ頃実行されるのか?
差押登記に踏み切る詳細を認識してはおりませんが、経験上5年若しくは滞納額が50万円ほどになりますと、登記される可能性が非常に高くなります。(もちろん、それ以前でも関係省庁に対する対応内容如何によって、差押登記が早まる可能性は十分にあります。)
では何が恐怖なのか?
任意売却は、抵当権者様を初めとする多くの利害関係者様へ、たくさんの譲歩をしていただき成り立つ売却です。いわば『みんなが少しずつ譲歩』しているんです。(もちろん、一番譲歩しているのは抵当権者様です。)にも関わらず、この『税金の滞納』を主原因とした差押に関しては、ほぼ譲歩していただけなくなりつつあります。(あえてほぼと申しました)
平たく言いますと『市税は一部入金は認めない。滞納額を全て返済(もちろん、滞納税も含め)しないと差押解除に応じない。結果、売買契約が成立せず、競売になっても市としては全く構わない』
こういった事を平気な顔で仰る市の担当者様が実在する。
これが怖い
任意売却になっているという事は、売却しても抵当権が抹消出来ない売却額な訳です。そこでさらに競売になるという事は、抵当権者様が落札金を全額回収する可能性が非常に高い。という事は、競売になれば市税は全く回収できない訳ですよ。
本当に競売になっても市は困らないの?一銭も回収できないんですよ?
もちろん、全ての公務に従事されている方がそうだ、とは申しません。恐らくは一部の方だと思います。
しかしながら、一部の方とはいえ、そういった考えの方が実在する事が、私は非常に怖い。
なぜなら、差押が入っているという事は、それなりの金額な訳です。まして、任意売却をご検討されているという事は、様々な理由により既に金銭的に困窮されている訳です。
そういった切羽詰まった状況の方に、更に言えば前述通り、様々な利害関係者様にたくさんの譲歩をして頂き、最後の最後、突如現れた売買契約後の差押権者の元へ、一部入金による差押解除の交渉に出向いた私とお客様に向かって、堂々と赤文字の言葉を投げかける担当者。
きっと、差押内容が市税では無く、その担当者個人が貸し付けた債権であれば『いくらかでも回収出来れば、というよりも、回収できる金は回収できる時に回収し、残金はおいおい考えよう』ぐらいの思考になるはず。
『完全回収以外はNO!』
これは自分の懐が痛まない人の考えではなかろうかと、私は思う訳です。
言い過ぎかもしれません。穿った考えかも知れません。歪んだ感想かも知れません。
担当者様の仰る内容、とてもよくわかります。ご高説、いちいちごもっともです。だがしかし、同じ人間同士、温かみを持った対応を求めてしまう訳です。
四角四面に『法律ですから』『税金の納付は国民の義務ですから』『そもそも滞納する側に責任が・・・』等々
そんなん解ってる
長くなりましたが、折角任意売却で債権者様の合意が頂けた後に、こういった問題が噴出する可能性が少なくはありません。
差し押さえは本当に怖いです。
積み上げたブロックを一撃で全て粉砕する破壊力があります。
任意売却をお考えの方がいらっしゃいましたら、税金の滞納には十分ご注意ください。
税金の支払いが厳しい時は、抵抗があるかもしれませんが窓口に出向き、しっかりご相談される事を御奨めします。