私が「カメラ」のことを「キャメラ」と言うと、
軽く人をイラつかせることができるようです、せんらくやです。

 

とある蒸し暑い休日の日、新しく買ったカメラの望遠レンズを
どうしても使ってみたくなったので、行ってきました、比良山系は武奈ヶ岳。

沢に行くかどうか悩んだけど、この日はカメラ、いやキャメラです!

 

ルートは久しぶりにイン谷口-大山口-青ガレ-金糞峠-ヨキトウゲ谷から中峠-ワサビ峠-西南陵-武奈ヶ岳-コヤマノ分岐-パノラマルート-八雲ヶ原-ダケ道-大山口-イン谷口。

この日は夜から赤十字の防災支援奉仕団の役員会があるので

それに合わせるため、日没までたっぷりと山にいようと、まったり歩くことに決めた。

 

望遠レンズというものは焦点距離が長くなるので

遠い被写体を写す時に端の歪みがなくなる。(by 友人のプロキャメラマン)
逆に焦点距離の短いレンズは端が歪んで、ふくれてみえるそうだ。
写真に写してもらった時にちょいと太めに見える人はこのせいかもしれない。

 

歩きはじめると速攻汗が吹き出す。

大山口に行くまでに心が折れかけている。

すると後ろからトレランのお兄さんが荷物も軽そうに軽快に

スタコラサッサと駆け抜けていく。

「くそっ、荷物がなかったら俺も行けるしよ・・・てか、逆に俺は荷物担いででも行けるで」

と思いながら登山靴でバズーカ望遠デジイチ抱えて、スタコラ・・・と行きかけたが

チ───(´゚ェ゚`)───ン・・・3歩で、あえなく終了。

ええねん、今日の俺はキャメラ山行じゃ。
一人で勝手にすねて、勝手にあきらめる。

 

ところが、望遠レンズを試すチャンスがない。

この日はソロ、被写体はいないし、歪みが何とかってのもようわからん。

三脚も持ってきてへんから手ぶれがあってピントが来ない。

よって、早々にいつもの標準レンズに交換した。

「俺が山に持っていくならこの標準レンズ1本やな」と前日に友人が言った言葉を思い知った。
新しいレンズ試したかってんもん・・・
スタートの時点でミッションクリアならず。

 

ここからがまさに地獄。

前日の雨の影響なのかめっちゃ蒸し暑い。

なんぼなんでも、青ガレの下のえん堤までコースタイム通りって、ないわ~。

久しぶりに「なんで来たんやろ、エアコン効いた部屋でビールでも飲んでたらよかった。」
と思ってしまいました。

そして、「もう、八雲でタープ張って、昼寝でもしようかな」とまでも思ってしまいました。

いやいや、日頃は自宅で仕事。人呼んで健全な引きこもり。
週一くらいは外に出て運動せなあかん。

心を強く持とうとするが暑いのはマジきつい。

 

 

なんとか登って金糞峠。

・・・も微妙なガスで眺望もなし。

風でもあればええけどそれもなし。

 

 

金糞峠から北西へ下りる。

まっすぐ行けばヨキトウゲ谷。
右へ行けば昼寝・・・いや、八雲ヶ原。

 

これは人生の分かれ道と一緒やで・・・。

 

強く信念を持って生きるのか、
それとも、臨機応変に対応しながら流れに身を任せて生きるのか・・・
まあ、どっちもええように言うてるねんけどね。

 

とりあえず、メリノウールのTシャツを脱いで沢の水で濡らす。

今日のせんらくやは水冷タイプでいく。

 

水冷タイプへのモデルチェンジは成功した。

初志貫徹、ヨキトウゲ谷へ脚を向ける。

強い信念を持ち直すことにも成功した。

よくやったぞ、おれ。

 

 

ヨキトウゲ谷に入ると先ほどまでの蒸し暑さがウソのようだ。

心地のよい涼しい谷風が体を包んでくれる。

 

「良きかな~~」一人でつぶやいてみる。

 

ちなみに「つぶやく」って、小声でひとりごとをいうこととちゃうの?

「Twitterでつぶやく」ってフォロワー数によっては割と大声やし、
あれは「Twitterで叫ぶ」にした方がええな。

 

 

ヨキトウゲ谷は小さな滝がいくつもある。

シャッタースピードと露出を調整して撮ってみる。

 

 

うちに帰ってからプロキャメラマンの友人の言葉を思い出した。

絞り≠シャッタースピード⇒ISO感度⇒最後に露出の順で調整するそうだ。

ISO感度の調整、忘れてたわ。

 

いいのが撮れるまで、水につかって、キャメラを石の上に固定して

何枚でもシャッターを切る。

スタコラサッサのトレランのお兄さんとのスピード差に落ち込んだことももう忘れ、

これは完全にキャメラ山行。

楽しくなってきた。

やっぱり、来てよかった。

 

中峠からワサビ峠の間、口の深谷を詰めたところで昼食にする。

今日は水冷タイプなので、ここでもう一度、沢の水で冷却することにする。

 

仕事に行くカミさんのついでに詰めてもらった弁当を食べながら

「バズーカ望遠レンズ」の存在を思い出す。

ここやん!ここでバズーカやろ!

 

弁当を食べている場所から、遠目にある被写体にバズーカを向ける。

三脚はないので、しっかり木や石などでカメラを固定し
そっとシャッターを切る。

 


 


 

ええやん、ええやん!
雰囲気出てるんとちゃうん!

自己満足の極みですよ(笑)

 

ニタニタしてるとワサビ峠の方からおじさんが下りてきた。

話を聞くとダケ道から八雲、武奈ヶ岳、西南陵でこっちに来た。

ぼくとは全く逆ルート。

八雲にスキー場があった頃以来ぶりに比良に来たそうだ。

「金糞峠までいきたいねんけど、わかるかな~」とおじさん。

「あ~これはよくないパターンの質問やわ~」と私の脳内。
仮にもレスキュー比良の一員としてこれはほっとけへん。
木、めっちゃ生い茂ってるし、このおじさんの技量、どうかな~道わかるんかな~と思う。

 

昭文社 山と高原地図は持っているみたいなので地図をみながら

中峠まで登って谷沿いに行けば間違いないと説明した。
あの辺には金糞峠へと書いた道標もあるし

谷沿いにと言われたからといって、まさか逆の下流、大橋小屋の方には行かへんやろ。
道なんて立派なものはないからくれぐれも注意して
中峠から尾根、左に行くとコヤマノ岳で八雲にもどるけど、
右には絶対に行ったらアカン、シャクシコバの頭へは行くけど
最悪ミスったら口の深谷へ滑落。
中峠からは谷沿いで!ゆっくり歩いてね。と伝えた。
念のために、携帯番号を教えておいた。

どうせ、こちらは日没近くまで山にいるつもりやし

もし迷ったら、びわ湖のみえるところまで登ってつながるタイミングで電話して、と伝えた。

おじさんの息子さんがぼくの歳よりちょいと下くらいで同じ名前らしい。
こんなだれもおらん暑い山の中で出会ったやつが息子さんと同じ名前って、どやさ(笑)
 

普通何かがあった場合、110番通報が一番正解だ。
半径5m以内で現在地を特定してくれる。

だけど、今日のこのおじさんの場合、同じ山にいるぼくの方が近いし速い。
迷って日没、無理に歩いて転倒、滑落、大怪我なんてパターンの
大事になる前に問題は解決へ向かう。
担いで下りるとかヒーロー的なことは無理やけど、
応急処置とか無線で緊急連絡、応援要請、そばにいとくことくらいはできる。

ちょっとつまずいて足首骨折とか、考えただけでも怖い。

うまいタイミングで固定のための枝とかそんなにないしね。
実際、足首骨折とかになったら一歩も歩けないくらいの激痛だそうだ。

単独での山の事故は本当に行動不能になる。

 

とにかく、一応、ここからぼくのスマホも電源オンにしておく。

 

この写真には写りこんでいないが

西南陵からはトンボだらけ。

 

 

 

 

 

 

独り占めの武奈ヶ岳山頂でまったり。
1時間以上はここにいたかもしれない。

すっかり融けたオレンジジュースを飲みながら

バズーカ望遠レンズを再び取り出す。
キャメラマンに非協力的なトンボや蝶。

アザミはじっとしているんだが、びわ湖からの風がうるさい。

金糞峠では風がないと文句を言ってたのに

ホンマに人ってやつは自分の都合のええようにしか考えへんもんやと思う。


 

 

まったりまったり、パノラマルートへ。

コヤマノ岳から下がったところ辺り。
ここは標準レンズの焦点距離を広角18mmにしてワイド感を出してみる。

 

おじさんは無事に下りたかな~何もないということは無事やな。

なんて考えながら夕方5時過ぎにイン谷口に下山完了。

登山口近辺には持ち主のいない車もなかった。

これで一安心。

 

一人ふらりとキャメラ山行。

この日は大した被写体もないのに300枚以上もシャッターを切っていた。

今度は三脚を持っていこうかな。
いや、絶対に沢の方が涼しい。
沢にバズーカ望遠キャメラを持って行きたいぞ~