ぬばたまの 今宵は酔ひぬ うま酒に
君がすすむる このうま酒に
せんらくや・・・です。
うそです、これは良寛という昔のお坊さんの歌です。
人の興味と入ってくるタイミングとはなんとも不思議なもので
私は高校の頃、古文漢文が大嫌いでした。
そんな私がこんな歌をおもしろいとおもうなんて思ってもみませんでした。
それもこれも、桑名の妖怪さん、K氏のおかげかもしれない。
そんなにしょっちゅう会うわけではないのですが、
タイミングでいい本や、いい言葉を薦めてくださり、
それがまたピタリとはまってしまう、不思議。さすが妖怪だ。
そんな妖怪さん、K氏を先日、我がホーム武奈ヶ岳にご招待しました。
30年ぶりの比良らしいです。
7時に某所で待ち合わせ。
私とカミさんは朝食調達時間もふまえて6時半に現場着。
すると、もういてはる。K氏・・・
よほど、うちにいられないのだろうかw
いやいや、きっと久しぶりの比良を楽しみにしていてくれたのだろう
と思うことにするw
今回のルートはイン谷口-青ガレ-ヨキトウゲ谷-コヤマノ岳-コヤマノ分岐
-武奈ヶ岳-パノラマルート-八雲ヶ原-ダケ道-イン谷口。
寒波再来で約10cmほどのパウダー。いい感じの雪だ。
その下は古い雪がちょっと溶けてまた凍るかのような状態。
アイゼンがザクザクとよく効くコンディションです。
ネパール、ブータンから帰ってきたばかりのK氏から
旅の話を聞きながら歩きはじめる。
旅の話というものは、最高のお土産だと私は思う。
その人が見て聞いて感じたものを伝えてもらい、
想像力、共感力を働かせて自分の頭で疑似体験させてみる。
話をする人の気持ちや感情がリンクするかのような感覚は本当におもしろい。
青ガレ手前でアイゼンを装着する。
えん堤を越えて青ガレに取りつくのにピッケルをアイスクライミングのように
突き刺して取りつく。こんな青ガレ初めてだ。
青ガレを乗り越えた金糞峠からみる琵琶湖。
コヤマノ岳への取りつきを見逃さないように慎重に
ヨキトウゲ谷をすすむ。
このまま、中峠を経て西南陵というルートも考えていたが
前夜の雪がこの谷筋には思いのほかあって、ノートレース。
気温も低く軽い雪だが、私の不摂生のせいかペースが上がらない。
リーダー(私)の一存で、コヤマノ岳経由で行くことに決定。
コヤマノ岳への登りで私が先頭でひいこら言いながら
ふわふわパウダーを味わっていると
「ラッセル?前に行こうか?」とK氏。
ふわふわパウダーラッセルは、みんな大好きなんやな。
快く前に行っていただくが、そのトレースは追わずに思い思いの尾根歩き。
自由に歩けるのが雪山のいいところだ。
いいタイミングで陽が射してきた。
ペースが遅かったので、コヤマノ岳に到着するころには
コヤマノクラウンの霧氷もなくなっているかと思われたが
新芽も伺える。
春の準備もできている。
コヤマノ岳があまりにもいい景色だったので、ここで一本。
一本といいながら誰もザックもおろさず、お湯も飲まず、ひたすら景色を眺める。
休憩がてらにイグルーを作ることになった。
K氏のイグルー指導を受けるカミさん。
この中は本当に温かく感じる。
ここでランチタイム。
遭難しそうな時はこのイグルーで天候回復を待ってほしい。
風雪の中でも0℃以下には下がらないので、安心。
入り口にツェルトでドアをつけるとさらにグッド。
中からピッケルで少し穴をあけると換気もばっちり。
何より椅子の高さや小物置き場が自由自在に作ることができる。
イグルー泊ができれば、テントを持ってこなくても済む。
普段とは様子の違う急登の尾根を登り切って、到着。
西南陵は雪がつくと格別いい。
ナガオ尾根も歩こうと考えたが、思いのほかマッタリな感じなので
もう1棟、イグルーを作ることにした。
昔から、鈴鹿中にイグルーを作りまくっていたK氏も
一日に2棟のイグルー建築は初めてのようだ。
これは北山方面。
仕事しながら、釈迦岳や琵琶湖を眺めるK氏。
八雲ヶ池はまだ雪で埋まっているが
池の真ん中を歩いて、池にはまらんように気をつけなければ。
お気に入りの北比良峠からの一枚。
前尾根は確保なし、ふつうのホームセンターで買った靴で登り
雪の南アルプスにも一人でいくようなすごい技量の人、K氏。
そんなすごい人なのに、
一緒に歩くとなぜかほわ~んとした温かい気分になる。
今日もいい妖気・・・気を分けてもらった気がする。
ちなみに冒頭の良寛さんの歌の意味は
「こんやはすっかり酔ってしまったよ、このうまい酒に。
あなたがすすめてくれる、このうまい酒にね。」ということだそうだ。
実にいい歌だと思う。
キャバクラで使ったら、賢い人に思われてモテるかな(〃▽〃)