ぼくは被災地で整体をしている時は

「地震のこと、津波のこと」は一切自分から話さないようにしていました。

なぜなら、「整体」には必要がないからです。


伺うことは「身体の様子と避難所での生活」。

これは整体と大いに関係がある。


ただ、中には自分からその時の体験や

これからのことを話し出す方もおられる。

そういう時は、うなずいて自分の意見は言わずにただ聞く。


ある避難所の小3の女の子は「お気に入りの猫の枕を津波で流された」と言った。

僕はそれに対して「もっといい枕と出会うよ」と言った。

正しいのかどうかはわからないが

ネガティブな発言だけはしないようにした。



家屋の清掃ボランティアをしていた時

近所の男性が「ここ」で起きた、津波の事実を詳細に話してくれた。



それまではボラセンと避難所、普通の町しか見ていなかったので

正直、被災地をリアルに感じていない自分がいた。

立ち入り禁止区域に入った時は

周りの光景が一変して「テレビでみた」ものになったが

人間とは恐ろしいもので作業していると慣れてくる自分もいた。


だがそこで起きたその話を聞いたときに

とてつもなく悲しくなり、涙が浮かんだ。

最後まで聞いていられなくて

その場を一緒に聞いていたリーダーの椎名さんに任せて立ち去った。


ここでそれは起こったんだと再認識することができた。


本当は聞かなければいけなかったのだろうか?

それは今でも疑問と後悔が残っている。


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滞在も後半になり亘理で人々をみていると

ボーダーラインのようなものが少しずつ見えるようになった。

津波が来たところと来ていないところ。

津波をみた人、みていない人。

余力のある人、ない人。

家族が無事だった方、そうでなかった方。

その他いろいろ。



そうして見ていくと復興には何が必要かが

もっと細かく見えてくるような気がする。


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仮設住宅も急ピッチでできている。

本当に建設関係者の方々は夜遅くまで頑張ってくれている。

この仮設住宅が復興へのスタートであることは間違いない。


家屋の清掃ボランティアも、もっともっと必要。


ぼくたちもそうであるが遠方からのボランティアは

経済的、時間的にとても負担が大きいのも事実。

高速は今回は1000円で行けたがそれももうすぐ終わるとの話。


清掃ボランティアについて言えば

1件のニーズに対して20人でかかると

身体の負担も少なくなるしスピードもあがる。

土日に800人が集まれば40件のニーズが二日で消化できる。


作業は1時間に一度休憩をとるように言われているし

終了時刻も夕方3時半くらいまでで雨が降れば中止。

内容も言い方に語弊があるかもしれないが「誰でもできる作業」である。

スペシャルなものではないし

スーパーヒーローにもなれない

ある意味、地味な作業です。



意外と女性の方も多く参加されているし年配の方もふつう。

アウトドアが好きな方ならテント泊も楽しいかもしれない。

できればあってほしくないが被災地見たさに来るのも一つのきっかけかもしれない。

山男や自衛隊の料理の素晴らしさを体験できるかもしれない。

テレビやパソコンがない自然な生活に新しい気づきがあるかもしれない。

今までの自分の生活を見直すことができるかもしれない。

非日常の世界がそこには確実にあります。



だからどんどん近隣の方もボランティアに来て欲しい。

「自分なんてなんの役にも立たない」なんて思っているひとが

もしいれば、勇気をだしてここに来て作業して欲しい。

「ここまでやってくれて、本当にありがとう」という

言葉をかけられた日には最高に幸せな気持ちになるはず。



ボランティアって多分、

自分のためにしているのだと思う。



そう、自己満足です。



でもその自己満足が誰かのためになっている。

それって一挙両得でめっちゃええことなんですよ。


親切の押し売りにさえならなければ

こんなに人として素晴らしいものはない。



これが現時点の僕の答えです。




機会を作って是非また亘理に行くつもりです。

亘理にニーズがなければニーズのあるところ。

整体ボランティアにもこだわりはない。

どんなことでもいいからできることをできる範囲でやりたい。



そしていつの日か

鳥の海ではらこ飯やほっき飯やイチゴを食べて

温泉に入って、マラソン走って、一の蔵呑んで

「俺も復興にほんのちょっとだけ参加したんやで~」って

関西訛り全快でどや顔したい。

整体を受けてくれた方にももう一度会ってみたい。

「東北のうどんはだしが違う。食べてみて。」といって

おそらく救援物資であろう「どんべえ」をぼくにくれた

いつも子供さんをおんぶしていた奥さんに

今度は「関西のどんべえ」をあげたい。



強くて優しい亘理の人、東北の人なら

きっと復活、いやもっといい町ができる。



何らかの意図のある報道や

ヒューマニズムだけで言うのではない。

その場でそこの人をみてきた

ぼくが言うことだから間違いない。


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最後に

今回のボランティア活動を支援してくださったお客さん、家族

事前に情報を提供してくださったみなさん

ボラセンのみなさん、亘理、宮城県、練馬区、和歌山、大槻の方々

赤十字のスタッフさん、看護師さん、素敵なボランティアさん、自衛隊の方々

地元の方々、ボランティアさんに炊き出しや援助してくださったみなさん

同行してくれた松ちゃん、バオバブ整体院の宮嶋先生。

ありがとうございました。